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 Diary 2001・9月12日(WED.)

ブローバック

 昨日の事件は凄かったですねえ。いったいあれはどういう事なのか。まあ、現時点では情報が少なすぎて、あれこれ憶測するのは馬鹿げているかもしれませんが、衝撃を和らげるためにも、ちょっと考えてみました。

 今朝起きて、私が最初に見たのはテレビではなく、副島隆彦のホームページ。何度も言いますが、世界政治の動きに関しては、私はこの人の言っている事を一番信用しています。で、まず副島隆彦がこの事件についてどうコメントしているかを知りたくて、ホームページをあけました。いくらなんでも早すぎるか? とも思ったのですが、さすが副島隆彦。すでにこの事件についてのコメントを書いていました。

 実をいうと、私はホームページなんて、この副島隆彦のものも含めて、普段はほとんど見ないのですが、今回こういう事件があって、こうやって早速知りたい事を得ることができて、はじめてホームページのありがたさ・便利さを実感しました。うーん、感謝!

 で、副島隆彦の意見ですが、やはりこれは「ブローバック」だろう、ということです。「ブローバック」とは、アメリカ帝国が周辺の属国を支配・管理しようと色々といじくりすぎて、それが自国に悪い形で跳ね返ってくる事をいいます。簡単にいえば「自業自得」。やはり、「ブローバック」か。私もそう思っていた。って、私は基本的に副島隆彦の理論を受けいれているので、とうぜんそう考えるのですが。

 今回の事件はどういうものであったのか、という事に関しては、だいたい三つの考え方があると思うのです。ひとつは、これが最も多いでしょうが、アメリカと揉めている国(または大組織)が抗争の一環としてテロを行った、というもの。二つ目はアメリカの謀略説。まあ、自作自演という事はないでしょうが、パールハーバーの時と同様に、相手を上手い具合に追い込み、誘導して事件を起こさせ、その事件を錦の御旗にして相手に戦争を仕掛けていっきょに叩きつぶす、というもの。そして三つ目がブローバック。

 一つ目と三つ目は似ているようですが、実は全く違います。まず現状認識が根本から違う。一つ目の見方は、「アメリカ」と「アメリカと揉めている国」はあくまでも対等だとみなしています(国力の違いは当然あるとしても)。その対等な 2 国が何かの問題で揉めていて、一方がルールー破り的にテロを行った、という見方です。だから、テロ許すまじ! という意見が出てきます。

 それに対して三つ目の「ブローバック」の方は、アメリカと他の国は対等とみなしていません。あくまでアメリカが宗主国として他の国を支配しているとみなします。そしてあまりにも酷い圧政をひいたので、それに対して被支配民が立ち上がった、とみなします。だから今回の事件は、テロというより独立戦争の意味合いを濃くします。むろん、テロといえばテロなんですが、色合いが違う、という事です。だから単純に、テロ許すまじ、とはならないのです。

 アメリカはアジアや中東、南米などの諸国を支配下に治めた帝国であり、それにヨーロッパや中国、ロシアなどがなんとか対峙している、というのが副島隆彦の提唱する世界政治のモデルです。そして実は世界基準では、この見方はかなり有力のようです。

 日本はアメリカの属国のひとつに過ぎないのですが、国民に対してプライドを保ちたい日本の政治家、官僚、知識人などが、その事を国民に隠しています。アメリカと行われる「〜会議」とか「〜協議会」というのは、実際にはまったくそのようなものではなく、一方的に日本が呼びつけられ、アメリカの要求を押しつけられる場です。そこでは日本側はただひたすらアメリカ側に怒鳴られ、色々と抵抗はするものの、結局アメリカ側の理不尽な要求を飲んだり、お金を差し出したりしています。このようなアメリカの支配に敢然と立ち向かう政治リーダーが出てきたりすると、アメリカは謀略にかけてそのリーダーを失脚させたりします。田中角栄のように。

 余談ですが、田中角栄は失脚後も闇将軍として日本の政治界に影響力を持っていたので、アメリカがしつこく命を狙っていた。だから、田中真紀子は病身の角栄を病院から退院させ、自宅に匿って命を守り抜いた。という嘘かホントか分からないような話もあります。

 実はアメリカがアジア地域の支配で最も恐れているのは、日本を中心としてアジアがひとつに団結することなんですね。いわゆる大東亜共栄圏。だから大東亜戦争後、アメリカはアジア各国に徹底した反日思想を植え付けます。日本にも当然、反日思想を植え付けます。大東亜戦争は西欧の支配からアジアを解放する戦いではなく、アジアに対する侵略だ! 日本が軍事力や経済力をつけると、またアジアに侵略するぞ! と、徹底して洗脳して、日本と他のアジアの国が団結しないように仕組んだのです。

 とはいえ、アジアの人達もいつまでもそんな洗脳にはかかっていません。80 年代の終わり頃に、まさに大東亜共栄圏が再建されようとした時期がありました。円を基準通貨としたアジア経済圏の事ですね。それに対してアメリカは、徹底したマネーウォーズを仕掛けます。ヘッジファンドなどを使って滅茶苦茶にアジアの経済を荒らしまわし、この新たなる大東亜共栄圏を潰します。アジア各国は、またしても植民地のような状態に貶められてしまいました。日本の現在のうち続く不況も、このマネーウォーズに負けたからです。

 これは言ってみれば、アジアのアメリカに対する独立戦争でした。その過程で、何万人もの人が戦死し、飢え、地獄をみています。現在の日本では 40 代から 50 代の人々の自殺率が戦後最高を示していますが、これはマネーウォーズに負けたために死に追い込まれた企業戦士達でしょう。

 中近東もアジアと同様に、いや多分それ以上に酷い目にあわされ続けています。そしてそれらの悲惨な状況は、報道されることなんてほとんどないし、今回の事件のような世界に訴える派手な映像もありません。それらを思うと、テロ許すまじ、とは私はとても言えません。

 今回の事件の犯人ではないか? と言われているオサマ・ビン・ラディーン氏は、アメリカが育て上げた人物らしいです。アメリカが自分の手先として使うために、ラディーン氏が率いる人々に武器を与え、訓練したようです。それでアフガン戦争ではソ連と闘わせた。そのラディーン氏が、民族愛に目覚め、アメリカに対して反逆の狼煙をあげた、というのが事件の真相なら、まさにブローバックです。

 もちろん、今回の事件で亡くなられた人々には深く哀悼の意を捧げますが、それでもなお、私は「ブローバック・アメリカの自業自得だ」と呟いてしまいます。

 これからどのように事件が進展していくのか、どのような真相が明らかになるのか、予断は許しませんが、以上が現時点での私の考えです。

小川顕太郎 Original:2001-Sep-14;