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 Diary 2001・4月10日(TUE.)

葱と椎茸と戦争

 ショウヘイくんが「葱と椎茸が値上がりするそうですよ」と言う。今は中国から安い葱と椎茸が入ってきているのだが、日本の農家を守るために、これに高い関税をかける、というニュース報道をやっていたのだそうだ。私は、別に保護貿易に反対ではないので、ふうんまあそういうこともあるか、でもやっぱ値上がりは困るなあ、と呑気に聞き流していたのだが、突如あることにハッと思い当たった。

 先日、副島隆彦の新著『悪賢いアメリカ 騙し返せ日本(講談社)を読んでいたら、次のようなことが書いてあった。アメリカは、クリントンが進めていた対中国取込み作戦が失敗したので、中国に対して厳しい態度に出ることに政策転換した。これは、台湾をめぐってアメリカは中国との戦争も辞さない、と肚をくくったことを意味する。

 その時に、アメリカは日本も一緒に戦争に巻き込もうとしている。このことは、アメリカ国防大学の国家戦略研究所が 2000 年 10 月に発表した対日戦略論文『米国と日本ー成熟したパートナーシップに向けた前進』http://www.ndu.edu/ndu/SR_JAPAN.HTMを読めば分かるという。この論文で、アメリカは日本が集団的自衛権を行使することを強く進めている。集団的自衛権とは、同盟国が攻撃を受けた場合、たとえ自分の国が直接攻撃を受けていなくても、その同盟国の敵に対して「自衛」として攻撃できる、というものだ。

 日本国政府は、集団的自衛権は憲法第 9 条違反だとして、この提案をつっぱねているが、もしアメリカの圧力に屈服して集団的自衛権を認めてしまうと、アメリカと中国が戦争を起こした時に、日本まで戦争に巻き込まれてしまうことになる。そして、もしそのようなことになれば、現行のガイドライン法の下では、日本の港・道路を勝手にアメリカ軍に使われ、ソウル北方に現在駐留しているアメリカ軍の家族 20 万人を緊急避難させるために、日本空港や全日空の飛行機を強制チャーターさせられることになる。そして、もちろん多大な額のお金を戦争の費用として負担させられる。湾岸戦争の時のように。

 しかし、本当に恐ろしいのは、アメリカのもう一方の、真の意図だ。それは中国と日本を直接にもぶつけることだ。アメリカの占領政策の基本は、分割して統治せよ、である。アメリカはアジアを牛耳るのに、戦後一貫してアジア同士の国々をいがみあわせてきた。日本人は、日本とアメリカは特別なパートナーシップがある、安保もあることだし、と思っているが、実はアメリカはアジアの他の国に行けば、そこでも「あなたの国とアメリカは特別な関係にある」と言い続けてきた。もちろん、安保条約も各国と結んでいる。そのように各国とそれぞれ特別な関係を結んでおいて、アジア各国同士はいがみあうように、仕向けてきた。アメリカの恐れているのは、アジア各国が手を結ぶことである。だから今も、来るべき台湾有事に向けて、中国では反日感情を、日本では反中国感情を、煽るべく情報操作している……。

 じゃ、じゃあ、この葱と椎茸の値上がりは、戦争への一歩なのでは。飛行機の接触問題をめぐってアメリカと中国の間の緊張が高まっているいま、アメリカの圧力でわざわざ中国からの輸入品に高い関税をかけたのでは。何年か前に、韓国が同じようなことをやって中国から制裁を受けたこともあることだし……。

 いやあ、店が暇だ暇だと騒いでいる場合じゃないかもね。でも暇だから、こういう本を読む時間があるんだけど。

小川顕太郎 Original:2001-Apr-12;