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 Diary 2000・7月26日(WED.)

こわれゆく女/サイト1周年

 ビデオでカサヴェテスの『こわれゆく女』を観る。カサヴェテスの作品は『グロリア』と『アメリカの影』ぐらいしか観た事がなく、どちらも非常に面白かったものの、ほとんど神話的な扱いを受けている「カサヴェテス」という名の凄みはそこまでよく分からなかった。だが、この作品を観て、その理由を理解した。これは凄い! 始まった瞬間からその映像が、他とは違う水準を示している、そんな作品がある事を久しぶりに思い出させられた。

 それにしても、何故このような映像が撮れるのか、不思議だ。よく言われるようにインプロヴィゼーションという手法を撮影に取り入れているからか? そういえば同じくインプロヴィゼーションを使って撮影する監督であるジャック・リベットの作品も、私は大好きだ。『狂気の愛』最高! 確かに、あの独特の緊張感、過剰さ、自由さ、というものは、インプロヴィゼーションから生まれ得るものかもしれないが、インプロヴィゼーションをすれば、誰がやっても同じような効果が得られるとは限らないだろう。音楽においても、ほとんどのインプロヴィゼーションは退屈だしな。やはり才能、ですか。

 最後に一言。ジーナ・ローランズ凄すぎ! 『グロリア』が吹っ飛んでしまいました。

 で、今日でちょうどこのサイトを開設して 1 年。私もこの日記のようなものを書き始めて 1 年たったわけだ。よく続いたものだと我ながら呆れるが、ひとつ言える事は、これが本当の日記であれば、こんなには続かなかっただろうという事だ。私の書いているのは、公開日記という事になるのだろうが、まあエッセイみたいなものだ。私には日々の出来事や、思ったこと考えたことなどを、記録したいという欲望はない。強制があるから書く、それだけだ。

 しかし世の中には日記を書く欲望を持った人達がいて、そういった人達は何十年も日記をつけ続けている。身近な所ではベッチだが、有名人もジッドやゴンクール兄弟など目白押しで、なかでもアナイス・ニンは日記を書くことを阿片吸引に例えているし、トルストイなんかは奥さんに見つけられるのを恐れて、普通の日記とさらに秘密日記までつけている。そして最後はその秘密日記までみつけられて、80 歳を超える老体に鞭打って家出をし、駅のホームで凍死するのだ。ううん、凄い。そこまでして日記をつけずにいられないとは。

 そういった人達が羨ましいのやら羨ましくないのやら。とにかく私は日記を書くのはどちらかというと苦痛です。が、このサイトが続くかぎり、書き続けていきますので皆さんこれからもよろしくお願いします。

小川顕太郎 Original:2000-Jul-28;