京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

HOME > diary > 00 > 0103
 Diary 2000・1月3日(MON.)

戦後秘話

 高槻松竹セントラルに大島渚映画祭を観に行く。大島渚の作品なんて「戦メリ」ぐらいしか観ていない。正直いって面白くなさそうなので今まで避けてきたのだ。私の持つ大島渚作品のイメージは観念的な左翼映画といったところで、マンガでいうところの宮谷一彦の劇画みたいなものを勝手に想像していた。結婚披露宴で観念的で空虚な政治的激論を交わすだけ、と悪名の高い「日本の夜と霧」とか。しかし最近は、何故か大島のゴリッとしたところが気になって、一度ちゃんと観てみたいと思っていたのだ。宮谷一彦も復活したそうだし、これは 80 年代的な適度に洗練された小綺麗かつウェルメイドな文化に対する反動、という時代の要請かもしれない。とにかく観に行ったわけです。

東京戦争戦後秘話 2 本観たのだが、一本目が「東京セン争戦後秘話」。この「セン争」の「セン」は本当は漢字なのだけれど、変換しても出ないのでカタカナにしておく。いきなり大島はゴリッとしているなあ。この作品は脚本に原将人が参加しているせいか、かなりテーマが原将人っぽい。つまり映画を撮るとはどういうことなのか、という問いが基調にあるのだ。が、原将人作品にみられるようなシャープさがあまり感じられず、いささかボウッとした印象。原将人作品と違って純粋なるフィクションだからか? こうした問いを抱えながら 2 本目を観る。

 2 本目は「日本春歌考」。主演は歌手の荒木一郎だ。この作品も、あきらかにゴダールを意識したカットとか、吉田喜重っぽい所とか、随所随所に面白い所は満載なのだけれど、全体の印象はやはり茫洋としている。なんというか、お前実は何も分かってないんちゃうか? と言いたくなる作品なのだ。分かっていないけど分かっているふりをして強引に作品を作っている、という印象。ここら辺が大島作品のキーポイントかもしれない。むう、残りの作品も観れるものはなるべく観るようにしよう。ちなみにトモコは 1 本目がよかったらしく、「かなり笑えた」との事。確かにね。

 映画館を出て、お腹がすいたのでどこかでご飯を食べようと高槻駅前をうろうろし、ここなら安いだろうとチェーン居酒屋の「村さ来」に行くと、正月料金として 10 %加算と書いてある。なるほどね、こんな事をするわけか、と、他の居酒屋に行く。そうか、今は正月なのね、と実感。でもオパールの休みはまだ続く。明日も大島渚を観にくるぜ。

小川顕太郎 Original:2000-Jan-5;