京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

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Magazine Review 1999・12月06日(MON.)

関西ウォーカー
 保存版 京都の安くてうまい店

 エライことをやってしまったものだ、関西ウォーカー。

 たとえば店主指摘済み(日記11/2012/01の[カフェ・オパール]が掲載された p. 129 。ざっと流し見るに[蔦屋]の写真にあるケーキは、明らかに「ダークチェリーのパウンドケーキ」でなく「りんご ( もしくは洋梨 ) のタルト(もしくはケーキ)」である。[ ル・ペール]メニューボードの「パリプレスト 410 円」は、フランス菓子史上一般的に「パリレスト」のはずだ。1 ページ 4 件中少なくとも 3 件 7 点の間違いがあるとは、一体どういうことか?

 その「どういうことか?」が、謝罪後の今となっても要領を得ない。これが今回のレビューのきっかけである。ご存じない方のために…私は同業者、すなわち主に雑誌に記事を書く、フリーライターであることを前もって述べておいたほうがいいですね。

 さてさて、現在多くの間違いが確認されているのは“デザート・カフェ”および“洋食・フレンチ”のページ。現在知る限りで[オパール]とヒドさを競っているのが、p. 76 にて「マルセイユ・グルモン」と店名からしていきなり間違えられている[マルセイユ・グルモンド]。四条新町の南仏現地ノリばりばりのナイスなビストロです。オーナーシェフの田中氏本人によると、

  1. 店名
  2. キャッチ(遊び心→なし、色彩豊か→見た目は地味なものだらけ)
  3. 本文(ポワールエルエって一体な〜に?)
  4. メニューボード(4 品ともウチではやってません!)
  5. 写真キャプション(ローストした鶏モモ肉→ポトフ)

 と、ここまでいくと呆れて抱腹絶倒ワンダホーな間違い加減。さらにライターとして付け加えるなら、いまどき「日本人向けのアレンジはいっさいなし」というコメントもとびきりナンセンスであり、まったく同じセンテンスを隣の p. 77[ビストロスリージェ]で使い回すのは避けるべきだったぜ、と言いたい。

 しかし店側は笑ってばかりもいられないのであって、メニューに謝罪文を添付するなどの処置で対応しているとのこと。しかし、ゆっくり食事をしに来たお客様にいきなり謝罪文を…というのも興ざめな話。[パリの食堂](p. 74)の早川シェフと[スリージェ]の四宮シェフはともに「オマール海老のムニエル 1000 円」とか 1100 円とか書かれてしまって(安すぎるっちゅうねん!)大慌て真っ最中。

 ……と、キリがないので間違い探しと店の困惑報告はこれくらいにしておくが、問題はその数十倍の読者(お客さん)が混乱しているであろうことである。店に謝罪にまわったのはいいが、読者へはどこでどのように真実を伝えようと言うのか? 店はいちいちそんなことに協力しとれんのだよ。こんな間違いだらけの情報誌が、いまだに書店で平積み(本屋で手前に高く積まれていること)にされていてよいのか??

 ここで謝罪の話に戻ると、先のマルグル:田中シェフ曰く「編集プロダクション M は『次回改めて』とか『今度別の特集で大きく扱いますので』とか言うねんけど、そうやないねん!」。オパール店主も同じことを言っていた。「今、この現状をどないかしてくれ」なんである。さらには「もう金輪際取材はお断り!(多分。これは筆者の推測)」なんである。

 そういえば最近、取材を終えて帰り際に「原稿は確認できるんですよね、ファックス送ってくださいね」と念を押されることが増えた。だが基本的に私はファックスでなく、電話確認のスタイルをとっている。すなわち、住所などのデータや価格、固有名詞などに関してみ口頭確認するわけ。なぜならば私は文章を書くプロであり、表現し伝えるプロなので、本文のもっていきようは安心して任せてほしいと思うからだ。また、自らの力量を信頼していただくために日々、客として店を利用するのも仕事の一環だと自負している。(だから日中プラプラしている私を見ても責めないでね)

 まさか一部でこんな失態が横行しているがために店側が神経質になっているとは思いもしなかった。専門分化が進んでいるらしき東京はまた状況が違うと思うが、狭い関西においては、私と同様(あるいはそれ以上に)、良識と信頼と人情を大切にして取材先および読者と関わっているライター・編集者・カメラマンも少なくない。しかし残念ながら一方ではこうして、そういった努力と信頼関係を、瞬時に失わせしめる行為の慢性化した実態が明らかになった。嘆かわしい限りだ。

 ところで編プロ M は菓子折持参で「こいつのミスです」の一点張り、かといってウォーカー編集部では編集長の対応に誠意が感じられないと聞いている。ここはひとつ世界に発信している強みを生かして、「角川書店、どない思てんねん!?」と問うてみたい。

 ちなみに、数名の協力を得たりして、現在私がソラで(取材するまでもなく、ね)わかる範囲の虚偽を赤ペンで訂正した『手作業改訂版:京都の安くてうまい店』をリアルオパールに置いておくので、興味のある方はぜひ店主に見せてもらってください(自分で購入された方は、転記して帰っていただきたいくらいです)

 なおこの文章を掲載するにあたり、店主夫妻およびサイト管理人の了承はもちろんのこと、「うちも困ってる!」他店オーナーからのご協力とご理解もいただいております。ただしあくまでも事実に基づいた個人的見解にすぎません。ご意見およびエールの投稿は管理人まで、反論もしくはご相談は右までいただきたく願います。

maki Original: 1999-Dec-06;

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