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Movie Review 1999・12月05日(SUN.)

一般人が見る「アポロンの地獄

 店主絶賛の映画第二弾、パゾリーニの『アポロンの地獄』。前回の『ポリー・マグー』とは違い、ストーリーもちゃんとつながっていて興味深い映画でした。

 元ネタは「オイディプス王」というお話しで、世界史の勉強をしてる時に小耳にははさんでいたもので確かギリシャの詩人ソフォクレス、の作品だったと思います。そういうこともあって一体どういう話しなのかを楽しみにして見ました。

 途中で祇園囃子のような雅楽がかかるあたりは独自の世界を描いているなあと思いました、全体を通して感じたちょっとした違和感というものが一番興味深く感じられました。

 納得いかないこともありました、話があまりに唐突すぎることです。スフィンクスという怪物もやたら弱いし、突然出会った女の人をあっさり好きになったりで、オイディプスの心の葛藤がほとんど伝わってこなくて、彼の苦悩というものが分からないのです。だから国に疫病が蔓延してがんばってる姿も演技か? と思ってしまいましたしね。

 最終的にオイディプスと言う人間に対して同情とかをあまりすることはなかったです、もしやこれも狙っていたのか!?

 よく分からない部分といえば、なんで話の最初と最後に現代のシーンを入れているかということです。あのシーンをいれるのであればもうちょっとストーリーに厚みを出したほうがよかったんじゃないかなあと思います。

 どうもひねくれた性格のせいでいちゃもんをつけまくってしまいましたが、全体的にはおもしろく見れました。さあ、こんなにおもしろいパゾリーニ映画祭ぜひみなさんも行きましょう!

おいしん Original: 1999-Dec-05;

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