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Movie Review 1999・8月24日(TUE.)

メッセンジャー

 ホイチョイ・プロの『私をスキーに連れてって』『彼女が水着に着替えたら』などといえば、作品の世界観が気にくわないのに結構おもしろく観てしまった自分が腹立たしくなった記憶がある。しかし今回は脚本に 90 年代日本映画を代表する傑作『演歌の花道』の戸田山雅司を迎えたためか、どういうわけか、根底に流れる思想にも違和感をおぼえることなく、ビリー・ワイルダーあたりをお手本にしている、工夫を過剰に凝らす作風は嫌いぢゃないので実によろしい。

 またまたフジテレビ製作で、気にくわない方もおおぜいいらっしゃいましょうが、傑作。

 なぜ自転車便なのか?「世界でバイクを使って荷物を届けるのは日本だけ。」なので自転車、というのは舌足らずな説明だが、自転車は 2 酸化炭素削減にも有効であるし混雑している 4 輪車をしり目にスイスイと駆け抜けていくのはともかく快感。自転車をフィーチャーした映画といえば『クイックシルヴァー』(ケヴィン・ベーコン主演、1986 米映画)『ヤング・ゼネレーション』(原題:Breaking Away ピーター・イエーツ監督、1979 米映画)など傑作ぞろいなので自転車は映画的な素材なのかな、とか思ってみたり。『自転車泥棒』というのもあったな。ちょっと違うか。

 ストーリーはきわめてご都合主義的に展開し、観るに耐えないとおっしゃるのはごもっとも。主演の飯島直子さんはテレヴィをあまり見ないボクには馴染みが薄いが、良い。「ビールなんて汗臭いもの飲めないわやっぱりシャンパン、クリュックがない? それぢゃヴーヴ・クリコ」などとのたまうあんまり近寄りたくない「トウのたったレース・クイーンみたいな女」というイデタチで登場し、運命の変転から自転車便をやる羽目に。と彼女の成長物語でもありますが、そのパチっと目がさめる瞬間が気持ちよくもう一回見に行きたいなと思っている。クライマックスには狙いすぎか? とも思うがオオオッと握りこぶしを突き上げたくなる活躍を見せる。予定されている行動ではあるが。

 いろいろ、ここがわかりにくいとか、ここはこういう風にした方が良いとか、このギャグははずしているなあとか、アイディアに演出が追いついていないとか、不満がないわけではないが、いくつかの小道具の使い方はうなった。がるるる。いい映画だと思うぜ。しかし、前日に『愛する者よ、列車に乗れ』というノレない映画を見ていたので過大評価してしまっている可能性はある。ので、みなさんもつまらなそうな映画とハシゴで見に行くのがベター。

『岸和田少年愚連隊』で好演していたナイナイの矢部くんが、この作品でもナイス。SMAP の草ナギ君(「ナギ」が出ないぢゃないか。こんな DTP 屋泣かせの芸名をつけるとはいい根性してますね)もいい。MTB で曲乗りするところがモロ吹き替えなのはしょうがないか。

BABA Original: 1999-Aug-24;

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