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Movie Review 1999・8月22日(SUN.)

愛する者よ、列車に乗れ

 「パリに住む画家兼美術教師のジャン=バチスト・エムリック(ジャン・ルイ・トランティニアン、以下 JB )が、ある遺言を残してこの世を去った。『私を愛する者は、(リモージュ行きの)列車に乗りなさい』」(パンフレット 11 ページより引用)

 で、遺言に基づいて数人の男女が列車に乗り、リモージュで葬儀に参列し、画家 JB の家で故人をドロドロと偲ぶ。とここまで書いてなんてイカしたお話なんだろうと思うが、映画観賞後パンフを読むまではこういうお話だとはツユ知らず、なんか駅だな、なんかみんな電車に乗ったな、いつの間にか葬式に参列しているな、なんかゴチャゴチャしゃべってるな、アレ、こいつアントニオーニの『愛のめぐりあい』に出てた○○ぢゃないか。という具合にまったくストーリーならびに人物関係を理解せぬままに約 2 時間を過ごす。こうした場合はスヤスヤと寝るに限るし、監督のパトリス・シェローの前作『王妃マルゴ』は快適に寝させていただいた記憶がある。今回どうにも寝付けないのはエリック・ゴーティエという撮影監督による映像が気持ちよくビヨーク、マッシヴ・アタック、ジェームズ・ブラウンなどフランス映画らしからぬナイスな楽曲の入り方が素晴らしかったから。

 もう少しボクのようなボンクラにもお話がわかるように演出してほしいものであるがフランス通の方々はこういうのにシビれるのでしょうか? じっくり考え事をしたい人にはオススメ。

BABA Original: 1999-Aug-22;

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