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 Movie Review 2004・11月18日(Thu.)

TUBE

公式サイト: http://www.tu-be.com/

 地下鉄大爆破! 『シュリ』のスタッフが大都会の地下鉄に仕掛ける――! ババーン! 爆弾を仕掛けられて乗っ取られたソウルの地下鉄を舞台に、やさぐれ刑事が謎の一味と対決、というお話。まーどう転んでも面白くなりそうな題材ですが、とてつものう退屈な作品に仕上がりました。

 以下、ネタバレ。

 そもそも疾走する地下鉄に爆弾を仕掛けるなら、時速80km以下に減速すると爆発するぞ! みたいな設定でないと盛り上がりませんよね。というか、映像はそこそこカッコよく迫力もあるのに、脚本がぜんぜんお話になっておりません。きっと、撮影したけどカットされたシーンもあるようで、意味不明なところも多いし。ていうか、電車・列車をネタにした傑作犯罪サスペンスは色々あるわけで、それらを参考にし、なぜ面白いかを真摯に研究すればこんな風にはならないはずなのですが…。『新幹線大爆破』『スピード』『サブウェイ・パニック』『大陸横断超特急』…他にもありましたっけ? ともかく、こういう話ならば犯人グループと官憲側で、スリリングかつサスペンスフル、血で血を洗う壮絶なトンチ合戦を展開していただきたいのに、どいつもこいつも頭使わなすぎ、なりゆきまかせでなんともかんとも。

 とにかくスリルとサスペンスを削いでしまう、いい加減なところが満載です。主人公刑事は一度、地下鉄列車からおいてけぼりにされるのですけど、なんと! 秘密の通路を一生懸命走って、地下鉄に追いついてしまう!

 で、追いついた刑事、疾走する地下鉄の屋根にあっさり飛び乗る! 時速100km以上で走ってたと思うのですが。キミはスパイダーマンか?

 こういうのは、地下鉄コントロールセンター職員「○○ブロックの急カーブで、地下鉄は自動的に△△kmに減速するはずだ! 飛び乗るには、そこしかない!」みたいな助言をし、急カーブを通過するのは何時何分だ! 急げー! というサスペンスが欲しいところです。お約束ですが。

 ラスト、爆弾を積んだ先頭車両を切り離さねばならない、誰かが先頭車両に残らないといけない、というのでこの刑事さん、犠牲的精神を発揮、結局、先頭車両とともに爆死してしまうのですよ。…キミ、猛スピードの地下鉄にあっさり飛び乗れるのになぜ、飛び降りない? というか、キミ、先頭車両に残っても何もしてないし。カッコつけて死にたかっただけか?

 と、いう具合、『シュリ』のスタッフが仕掛けて、まったくもってゆるゆるの、日本でいえば、織田裕二さんが主演しそうな犯罪ドラマに仕上がりました。韓国映画ブームで、『殺人の追憶』『オールド・ボーイ』のような恐るべき一級品が作られていますが、やはり他方でどうしようもない作品も作られているということで、バランス感覚をつかむためにオススメです。よくわかりません。

 と、色々書いてしまいましたが、この『TUBE』、MOVIX 京都では「スペシャル・アート・セレクション」の1本として上映されております。この「スペシャル・アート・セレクション」、ハンコを押してもらって5本見ると1本ご招待になるうれしい割モリ企画、なるほど、『TUBE』はアートだったのか! と得心いたしました。私、見方を間違ってました。みなさんもご注意のほど。

(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2004-Nov-17