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 Movie Review 2003・6月11日(WED.)

サラマンダー

 ロンドン地下鉄工事現場から、火を吐く巨大竜が出現。瞬く間に世界中に繁殖し、都市を破壊、人類は核兵器を使用しますが、歯が立たず、わずかに生き残った人びとは、都市を捨てて荒野に砦を築き、身を隠すのでした…と、いうのが発端。

 クリスチャン・ベールたちイギリス人は砦で、巨大竜の襲撃におびえて暮らしていたところ、マシュー・マコノヘイらアメリカ兵が現れ、「ロンドンへ行って、サラマンダーの親玉をやっつけよう!」と、たきつけるのでした。

 ヨーロッパ/キリスト教における「竜」とは、異教徒の暗喩、すなわち、カソリックが虐殺しまくったイスラム教徒のことでありましょう。サラマンダーに破壊される都市が、ロンドン、パリ、ニューヨークなど、欧米に偏って描かれていたり、立てこもる砦がカソリック教会風なのは偶然ではなく、現代における「竜」もまた、イスラム教徒の暗喩として用いられるのであった。

 巨大竜を、イスラム原理主義テロリストに読み替えれば、アメリカ人が、「元を絶たなければダメだ」と本拠地に乗り込むことを断固主張する、という具合に、この映画はアメリカ+イギリスのイラク攻撃をなぞっております。というか、現実のイラク攻撃で、親玉サダム・フセインをはっきりと殺せなかった代わりに、せめて映画で、カタルシスを味わおうということでしょうか。って、この作品は、アメリカでは 2002 年公開ですから、「親玉サダムを殺しに行こう!」というプロパガンダなのであった。親玉サラマンダーが、米英合同軍によって倒され、地上に平穏が訪れたと見るや、ちゃっかりフランス人が連絡してくる、というラストシーンは、「自然は芸術を模倣する」って感じ? よくわかりませんが。

 そんなことはどうでもよくて、核兵器で倒せなかったはずのサラマンダーが、銛を打ち込まれただけでイチコロっちゅうのはどないやねん!? と、ツッコミどころも満載、これまでヘナチョコ二枚目を演じることが多かったマシュー・マコノヘイが、スキンヘッドムキムキアメリカ兵を演じて大活躍なので、オススメでございます。

☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Jun-11;

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