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Movie Review 11月14日(WED.)

エボルーション

 アリゾナの砂漠に隕石とともに飛来した謎の生命体。発見当初は単細胞生物だったのが、数日で小型恐竜にまで猛烈な速度で進化し、スモールタウンを恐怖のどん底に陥れる! “Evolution”とは、“進化”のことでございますね。

 …と、50 年代アメリカで流行した「侵略もの」の現代版です。侵略ものの代表といえば『恐怖の街』(1956 年 ドン・シーゲル監督)、「田舎町の隣人が、見た目は変わらずとも異星人に精神をのっとられていた」という設定は、共産主義に対する恐怖の寓意だったのですが、現代版侵略ものの場合は何か?

 驚異的なスピードで進化を遂げた、といえば、やはり日本経済。つまり、日本経済は第二次大戦後、異常な速度で発展し、安価で壊れにくい日本製品はアメリカを席巻した、と。平均的アメリカ人は SONY や HONDA をアメリカの企業と思っているそうですが(ホント?)、実はそれらは日本製品だったのだ! がーん! それはともかく映画で侵略者(?)にたち向かうのは、三流田舎大学の教授らボンクラたちでして、日本の進出を許さぬためにボンクラもガンバレ! というメッセージです。

 圧倒的な速度で進化する生命体なものですから、ほっといたらそのうち地球人以上に進化してしまうか知らん、今のうちにやっつけなあかん、というのは、日本経済もだいぶん成長したけどアメリカ以上に発展する前に叩いとけ、という現在の日米関係の寓意となっておりますね。よく知らんけど。

 元々はシリアスな原案をコメディに仕立てたのは、傑作『ゴースト・バスターズ』『デーブ』のアイバン・ライトマン監督。アメリカの田舎者をバカにしまくってなかなか笑かしてくれます。特撮監督は『スターシップ・トルーパーズ』のフィル・ティペット。ショッピングモールの中を翼竜が飛びまくるシーンなど、よくできておりますね。ヘンテコな進化を遂げる生物群のデザインも、ちょっとカンブリア紀の奇妙な生物群のおもむき、秀逸です。『X ファイル』のモルダー捜査官ことデヴィッド・ドゥカプニーのマジボケもよろしく、クライマックスは無理矢理アホっぽくしようとしてて白けぬでもないですが、前半は笑いと恐怖が渾然一体のよい感じにてオススメでございます。

BABA Original: 2001-Nov-14;

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