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Movie Review 2000・6月14日(WED.)

クロスファイア

 名作・平成『ガメラ』シリーズの金子修介監督作品。宮部みゆき原作(読んでおりません)。念力で炎を起こすというとんでもない能力の持ち主、青木淳子(20 代、OL)が、法で裁けぬ少年犯罪をコテンパンにやっつける、という痛快娯楽+ラブロマンスもあるでよ、の傑作エンターテインメント。

 青木淳子は、感情が高ぶると、異常な高熱を放出する能力を持っている。尼さんにでもなって修行してりゃあいいじゃん、と思うのだが、現世に未練があるのかないのか、なるべく人と深くつきあわないように、ひっそりと某大企業の総務課に勤務。会社なんて腹の立つことばかりなのになあ、全部燃えちゃうぜ、と余計な心配。

 それはともかく、密かに思いをよせる営業のお兄ちゃんの妹が、若者どもにお遊びで虐殺されたことから、青木淳子は今まで抑えていた能力を解放させ、色々ありつつも焼き殺しまくる、というお話。

 例えば、『ガメラ』でも、怪獣に襲われた街の人々のリアクション、ガシャンと割れるラーメンの鉢、というところをキッチリ描き込むことによって、怪獣が存在する世界にリアリティを与えていた金子監督であるが、「目指したのは野村芳太郎だ」、ということで、丁寧にキャラを立て、庶民的な光景を描き、超トンチキな自然発火という現象を映画におとしこんでいる。桃井かおりの刑事がのど飴をいつもなめている、とか。この辺は、最近のアニメのタッチですな。

 さらに、『ガメラ』シリーズの経験を生かし、バリバリ CG も使った火炎放射、人体燃焼シーンの数々が、思わず爆笑してしまうほどサービス満点。

『七瀬ふたたび』風に「仲間」が登場、念写や、人を「押す」だけで思いのままに操る「超能力者」とか、ちょっと話を広げすぎでは? と、アホくささ、オタクっぽさがプーンと漂うが、少年犯罪というアクチュアルなテーマを扱い、今日的な倫理を問う寓話と見ることもできるのでマケておく。

 とりあえず、少年どもをバッタバッタと焼き殺すのが痛快で、やっぱりみんな(ボクも含む)「少年法」なんて無くした方がいいと思ってるのかなあ、とか思ったり。日頃若者どもの傍若無人ぶりに、メラメラと怒りを燃やしている人はスカッとすることウケアイ。スカッとしてていいのか? いいかも。ムカつく若者はみんなモエテシマエ!

 本格的な映画主演は初めてらしい矢田亜希子がメチャクチャ良いです。泣ける! ‘Every Little Thing’の主題歌は、脱力感満点。ともかく、強力にオススメ。スカッとしたいので、もう一回見に行こうかと思っております。

BABA Original: 2000-Jun-14;

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