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Movie Review 2000・8月28日(MON.)

映画史

 映画史は 1 本スジの通ったストーリーがある訳ではなく、映画のシーン、その他の映像、詩、色彩、音楽のコラージュなのですが、つい最近までは映画史どころかゴダールの映画は退屈極まりないので、私には必要無いわと決め付けていたにもかかわらずどうして睡魔と戦いながらこんなもの見てるの?……。

 ゴダールに興味を持たせてくれた蓮實重彦、蓮實重彦に興味を持たせてくれた村上龍(対談を読んだので)、その対談集を薦めてくれた友達、村上龍を読むことを薦めてくれた友達、本を読むきっかけをくれた OPAL 道場の皆様、OPAL に連れて行ってくれたたけやん、皆にまとめて感謝だわ、などと映画史の次々変わる映像と音楽を体中で感じながらも私の意識はありとあらゆるところに飛び、考え、感謝し、好きな人、大切な友達の事を思い出していたのです。

 たまには民族や戦争の事なども考え、鳥の飛ぶイタリアの空の青さの映像の美しさに鳥肌が立ち、べート−ヴェン第七の第二楽章が体中に染み込んできてクラシック音楽のあまりにも透明な清々しさに心洗われ(老後はクラシックも聞くことに決めました。)、ジャコメッティ−の彫刻の使われ方に心嬉しくなり、眉毛のつながったのっぺり顔のキリストに心奪われ、そういう、あまりにも膨大な映像、言葉、音楽は今は思い出せなくても、全てではないにしても、私の体に染み込んでいて知らず知らずの内に新しい脳細胞が生まれて、使われていなかった染色体が活動を始めた事でしょう。

 映画は全てであって、何かが出来て、映画は過去であり、未来であり、愛は美しい。バカバカしいけどその通りなのです。

 ゴダールの映画について解かりやすく説明してくれた人がいます。その人が言う事には映画を遊園地に例えるならばゴダールの映画はジェットコースターでもなく、メリーゴーランドでもなく、観覧車でもない今まで誰も見た事の無い、でも正に遊園地という『何か』なのだそうです。映画史は私にとって正にそういう体験でした。退屈なワンダーランドというところかしら。

 もし夜中に目が覚めて書斎を覗いてみて自分のだんな様が上半身裸で水色スケルトンのサンバイザーをかぶって真っ暗の中何かしら仕事しているのを見てしまったら、私は間違いなく思う事でしょう、なんてかわいい人なのでしょうと。そしてきっとだんな様の頬っぺたにチュ−してしまう事でしょう。

 最後にこんなまたと無い素晴らしいスチュエーションで映画史を上映して下さった RCS 佐藤さんに感謝。重ねて RCS 事務所の皆様お疲れ様でした。

 ゴダールの作る映画ではなく映画好きの偏屈じじいゴダールに love + hug + kiss!!

☆ミツギ☆ Original: 2000-Aug-28;

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