京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 00 > 0827
Movie Review 2000・8月27日(SUN.)

死者の学園祭

 赤川次郎原作、深田恭子主演の学園ミステリー角川映画。舞台はミッション系スクール。長年語り継がれてきた外国人教師にまつわる不倫伝説を演劇化し、学園祭で上演しようとした演劇部の黒澤優ちゃんが謎の死を遂げたことを発端に、様々な事件が。すったもんだの末に学園祭当日を迎えるのだが…というお話。フカキョン(深田恭子の愛称、ですよね?)は演劇部の部長を演じる。

 原作は 77 年発表ということなので、冒頭、フカキョンが告解中にピーヒャララと携帯電話が鳴る、といった描写は 2000 年映画化ならではの味付けであろう。なかなか期待を持たせますな。監督は田中麗奈主演の『はつ恋』が好評だった篠原哲雄。『はつ恋』は、京都公開されておらず未見なのだが、RCS の佐藤さんによると「ヴィデオ発売記念とか銘打ってやりますよ!」とのこと。ありがたいことです。

 話がそれたが、きっと『はつ恋』の実績を買われての監督抜擢であり、フカキョンの魅力をそれなりに炸裂させている。とにかく演劇実現のために奮闘する姿が素晴らしい。しかし、題材をうまくこなしているか、というと疑問で、学園に巣くう陰謀は、ぶっ飛んだ、というか古風なネタなので、叙情的かつヴィヴィッドな女子高校生ライフの描き方とアンバランスなのでは? との印象を受けた。

 むしろ、教師に対する恋心を前面に押し出して胸キュンとさせてほしいところであるが、結構入り組んだ物語を進めるのに労力を取られ、中途半端な仕上がりに終わった、と思う。残念。オジサン的には当世女子高校生気質的描写をもっと充実させていただきたいところ。

 なにせ、角川映画的には原作者のイメージも大事にして本も売らなきゃならない。一兎を追う者は二兎を得ず。フカキョンも売らねばならないが、そのために原作を根本的に変えて赤川次郎テイストを損なってはならない、という課題が課せられているわけで、マーケティング優先映画の難しいところ。

 しかし、とりあえずフカキョンが跳んだり跳ねたりしているのを見るだけで満足しておかねばならないのだろう。フカキョンに興味がない人には、おもしろくないこと必至なのだから、そういう人が見に行くのは間違っているし、文句を垂れるのは阿呆というものであります。実はボクは、フカキョンについては『リング 2 』の死に顔で注目していたのだ。頑張れフカキョン!

 学園長役で筒井康隆が出演しているし、とりあえず『仮面学園』と二本立てなのでオススメ。か?

BABA Original: 2000-Aug-27;

レビュー目次

Amazon.co.jp アソシエイト