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Disc Review 2000・4月4日(TUE.)

ヒーリオセントリック

ポール・ウェラー

 待ちに待ったポール・ウェラーの新作が出た! ということで居ても立っても居られずについつい書いてしまいました。

 私のようにリアルタイムで THE JAM を聞いていたものにとって、[スタイル・カウンシル]は衝撃でした。まわりにも戸惑い、離れていくファンもたくさんいました。かくゆう私も、思わずたじろいでしまったものです。ソウルや R & B といってもどちらかといえばスタックスや、アトランティック系のゴリゴリしたやつを好んで聞いていた私にとっていまいち馴染めなかったような気がします(直後に心を切り替えて聞いていた憶えもありますが)。そしていつの間にか彼の名前は僕の中では過去のものになっていきました。

 だからソロデビューのときや、その前の不遇時代もよく知らなかったんです。しかし数年前、偶然耳にした『スタンリー・ロード』は体中に電流が流れてしまったのです。当時、(今そうですが)人気絶頂にあった [オアシス]などのあまりにもあざといギターロックサウンドには飽き飽きしていたはずの僕の耳になぜか衝撃が走ったのを今もよく憶えています。「どこが違うねん!」と突っ込まれれば、「全然違うわい!」という稚拙な返答しかできないのですが…‥。

 そして『HEAVY SOUL』のリリース! 極限まで研ぎ澄まされたサウンドはまたしても僕を虜にしてしまいました。改めて、THE JAM やスタイル・カウンシルを聞き直し、その変換に思いを巡らし、一本筋の通ったポールの姿勢にまたもや感動!

 新作の『ヒーリオセントリック』は前作『HEAVY SOUL』ほどゴリゴリしたギターサウンドではありません。どちらかといえば、アコウスティックギターやオルガン、ストリングスが結構全面に出た淡々とした内容になっています。感情ほとばしるギターソロもほとんど無く、ひたすら言葉を紡ぐように歌う姿は、おもわず、ヴェルヴェッツやニール・ヤングを思い起こさせてしまったほど。

 とにかく、なぜ、スタイル・カウンシルからソロデビューまでの期間、ちゃんと追いかけて居なかったのかを懺悔するとともに、「これからはずっと追いかけて行くからね」と言わずにはいられない心にしみる 1 枚でした。

 でも、やっぱりボーナス・トラックと言うやつには馴染めないのでした。曲自体はいいんですけどねえ‥

kawakita Original: 2000-Apr-04;

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