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 Diary 2001・4月20日(FRI.)

未来くん

 ユキエさんが、「これトモコさんに頼まれていたやつです」と言って、未来くんの写真をくれる。トモコが秘かに未来くんを愛しているのは、一部の人間の間で有名だが、先日その事実を知ったユキエさんは、家への帰り道のとちゅうで、ここ 10 年ほどその前を通っていたにもかかわらず知覚できていなかった大きな未来くん像を、忽然と知覚した。こんな所に未来くんが…と衝撃を受けたユキエさんの、もしかしたらもっと未来くんは隠れているかもしれない、私のすぐ側で…という発想による未来くん探しが、その日からはじまった。

 まず家に帰って探索。未使用の未来くんタオル(正確には未来くんの絵がついた京都国体のタオル)を一枚発見。こんなものは見たことがない、やはり私のすぐ側に未来くんは隠れているんだわ…。確信を深めたユキエさんは、家の側のスポーツ用品店に行った。「未来くん、ありませんか?」「未来くん? そんなものは…ああ、ちょっと待ってや。」とおじさんが店の奥からゴソゴソと探し出してきたのは、吊り輪をしている未来くんの絵付きネクタイピン 3 本。やっぱり…ユキエさんはひとりで深く頷いた。「これ、いくらかで譲っていただけないでしょうか」「いやいや、そんなもの無料であげるよ。持っておいき。」

 その後、他の店で今度は未来くんのアイロンプリントを発見! これもシートごと貰える。「それねえ、家庭用のアイロンではつかないんやわあ。もっと高温のやつじゃないと。よかったら T シャツでも持っておいで。うちでやってあげるわ。でも…なんで今ごろ未来くんなん?」「ふっ…それは言えないんです。」とユキエさんは少し微笑み、その場を去った。

 さらに、ユキエさんは図書館に行き、未来くんについて色々と調べる。それによると、未来くんは公募によってデザイン・愛称ともに決まったのだが、デザインは応募総数 518 点の中から最優秀賞の上田實さん(京都市)が、愛称は応募総数 3270 点の中から最優秀賞の林久子さん(船井郡八木町)が、それぞれ考えたもののようだ。こういった事を書いた資料をドサッとコピーして、それも提出してくれる。

 凄い! 今までトモコからの依頼を受けて、「じゃあ未来くん探しておきますー。」と答えた人は数多いが、短期間でここまでの高成績をあげた人はいない。ユキエさんには、ケーキを焼く以外に、「未来くんを探し出す」という才能が隠されていたとは。

「でも私の『未来くんを探し出す才能』も、トモコさんに会わなかったら眠っていただけで宝の持ち腐れだったでしょう。その意味で、トモコさんには感謝しています。」と、ユキエさんは語った。

 アキラさん来店。アキラさんは舞鶴の自衛隊員相手の保険会社に勤めているので、来店してくれたら、いつも自衛隊の話しをして貰う。今日も大いに盛り上がった。それにしても、一月ほど自衛隊の体験入隊って出来ないものだろうか。アキラさんによると、1 日だけの入隊、というかほとんど見学みたいなものは出来るそうなのだが。そういえば三島由紀夫も、体験入隊するために様々なコネを使って働きかけて、やっと出来たという話しだから、私ではちょっと無理かも。自衛隊に入隊できるのも 26 歳までだし…、そうだ、オイシンはまだ 24 歳だから入隊できるではないか。オイシン、自衛隊に入隊してこい。

「絶対に嫌です!! 興味ありません。なんでみんなそんなに自衛隊で盛り上がれるんですか。自衛隊のどこがいいんですか?」

「そりゃあ、規律が貫徹している世界だからだよ。そういう世界で自分を厳しく律してみたいと思わないか?」

「全然思いません! だいたいボクは儒教の徒だから、そんなことには関係ないんですー。」

 あほか。いや、やっぱりオイシンはアホだと再確認した。どうも最近「論語」にはまっているようで、訳のわからない頓珍漢なことを言いまくっていると思っていたら、案の定これだ。ほんと「論語読みの論語知らず」とは、オイシンみたいな人間のためにある言葉なんだなあ。論語の陽貨篇に「唯だ上知と下愚とは移らず」という言葉があるが、オイシンが「下愚」である疑いがますます濃くなってきた。「下愚」はなにをどうやってもどうにもならない、やるだけ無駄である、という孔子の言葉の正しさを証明するかのように、アホのオイシンは今日もオパールのカウンター内にたって、笑っているのであった。

小川顕太郎 Original:2001-Apr-22;