京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 02 > 1120
 Movie Review 2002・11月20日(WED.)

チェンジング・レーン

 法廷へ急ぐ弁護士ベン・アフレックは無理な車線変更をしたために、サミュエル・L ・ジャクソンのクルマと接触事故を起こしてしまう。サミュエルもまた、親権を巡る重要な調停のため法廷に急ぐ途中であった。結局サミュエルは遅刻してドツボにはまり、ベン・アフレックはうっかり重要書類を落としてドツボにはまる。出会うはずのない二人の人生が交差し、事態は思いもかけない展開を見せる。ババーン!

 しかし、人生の行方を左右する重要な用事なのに、数分のタイムロスで遅刻してしまうのはいかがなものか? せめて 30 分前に到着する余裕を見ておけばよかったのではないか? それに、ベン・アフレックが重要書類をクルマで運ぶのもどうか? 地下鉄で運ぶべきではないか? 有能な弁護士という設定なのに、危機管理がまるでなってないじゃあないですか。そもそも発端に説得力がなく、その後もリアリティのない展開の連続で、監督は『ノッティング・ヒルの恋人』のロジャー・ミッチェルなのに、こんなにつまらなく仕上がるとは驚きです。

 ベン・アフレックは、書類を拾ってくれたかもしれないサミュエル・L ・ジャクソンを探してニューヨークをあてどなく彷徨う。…すると、目の前の歩道をサミュエルが歩いているではありませんか! …アホかと。また、すんなり書類を返してくれないサミュエルに逆ギレしたベン・アフレックは、ハッカーに頼んでサミュエルの銀行口座をゼロにし、破産させてしまいます。サミュエルが「そんなアホな!」と銀行員にくってかかると、銀行員は「ふーむ、これはハッカーの仕業ですねー、どうしようもないですねー」と平然としている始末。…もう、馬鹿かと。

 そんなディテイルはどうでもよくなってしまうくらい、主人公ベン・アフレックがとんでもなく嫌なヤツなのです。大手法律事務所のオーナーの娘婿かつ共同経営者であり、同僚女性弁護士と不倫中、何でも金で解決できると思っており、法律詐欺のお先棒かつぎをし、自分の不注意で書類を落としたのに、逆ギレして貧者サミュエルのささやかな人生設計をメチャクチャにしてしまう。それなのに、「なんでボクちゃんがこんな目に会わなきゃいけないの?」と、自分が被害者だと思っている。誰しもベン・アフレックの自己中心ぶりに呆然とするのではないでしょうか?

 一方、サミュエルは、自分の弱さを懸命に克服し、家族を取り戻そうと奮闘する役どころを好演。「オレがタイガー・ウッズの CM を作るならこうするね」と語るシーンがいい。サミュエル最高!

 とにかくベン・アフレックにイライラさせられっぱなしの 99 分。ていうか、ベン・アフレックが主演している映画はすべて Punish Bad Cinema ですね。ストレスをためたい方にオススメ。

(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Nov-20;

レビュー目次