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Movie Review 4月8日(SUN.)

ミート・ザ・
 ペアレンツ

 シカゴといえば、ER。その ER 勤務の看護士ベン・スティーラーは結婚を決意。例えば『バッファロー '66』でも描かれていた通りアメリカの貧乏人の家庭は崩壊しまくっていますが、そこそこの富裕層の家族の絆は未だ強固なもので、結婚するのに親の許しが必要、ということで彼女の両親に会いに出かけます。彼女の父親がロバート・デ・ニーロ。かなりの難物で、B ・スティーラーがデ・ニーロら、彼女の家族に気に入られようと四苦八苦するコメディーです。

 監督は『オースティン・パワーズ』のジェイ・ローチ。この『ミート・ザ・ペアレンツ』、マイク・マイヤーズが出ていなくてもたいしたおもしろさで、『オースティン〜』は M ・マイヤーズの才能が爆発、傑作でしたが、J ・ローチの確かな演出力に支えられていたということがよくわかりますね。B ・スティーラーは、とにかくついていないヤツで、飛行機で荷物を紛失されたり、何故この瞬間に携帯電話がかかってくるか、とか全てが裏目裏目に展開してのっぴきならないところへ追いつめられていく不条理な世界を現出させています。カフカ的でもあって、ボク好み。

 B ・スティーラーの陥る窮地が、本当に本当に可哀想で、劇場は爆笑の渦に包まれていましたが、私、泣いてしまいました。『自転車泥棒』『愛を乞う人』に匹敵する悲惨さ! 最高です。

 役者バカ一代デ・ニーロは、これまでも『俺たちは天使じゃない』『アナライズ・ミー』などで果敢にコメディー演技に挑戦してきました。今回は、脚本と演出に助けられて見事なはまりようで、やっと笑かしていただきました。とんでもない設定なのですが、説得力があるのはさすがですね。

 ギャグの端々にも底意地の悪さが見え隠れし、チクリと文明批評も見られる良い感じ。「家族と個人」、「結婚とは何か?」などを一度じっくり考えてみるにも最適の映画でしょう。オススメです。

BABA Original: 2001-Apr-08;

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