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Text by 小川顕太郎
2006年02月27日(Mon)

嫌オタク流
読書・文学

嫌オタク流』中原昌也・高橋ヨシキ・海猫沢めろん・更科修一郎(大田出版)を読む。これは鼎談形式でオタクについてのアレコレを軽〜く流した本なのだが、とにかく面白い! ッて、いふか、中原昌也おもしろすぎ! 秋葉原のメイド喫茶を廻つて以来、オタクのあれこれについて暇をみつけては考へてきた私だが、いまひとつモヤモヤが晴れなかつた。それを見事に一散してくれる書。様々な事が一気に分かつてしまつた!!! 

 この本は「嫌オタク流」といふだけあつて、中原昌也・高橋ヨシキのオタク嫌いの両人が、オタクに理解がある(?)海猫沢めろん・更科修一郎の両人に、率直すぎる疑問をぶつけ、果敢にオタクを批判しまくる、といふ構成になつてゐるのだが、これが良かつた。どうも今現在はオタクがブームらしく、オタク産業は金になる! と考へてゐる無関係・無責任な人々を中心に、世の中がオタクを持ち上げ気味で、私の持つ率直な疑問に答へてくれるものがなかつたからだ。世の中の基本トーンがオタク礼賛で、オタクの悪い面にはなるべく触れない、みたいな感じになつてゐて。さういつたもの対する私のモヤモヤに、ドンピシャリと答へてくれてゐる。これは、中原昌也・高橋ヨシキの両人が、ほぼ私と同じ歳、といふのも大きいだらう。二人の持つ感覚・考へ、それから発する疑問などが、よく分かるのだ。なんやかんや言ッたッて、オタクは精神が未成熟なエロガキが身体だけでかくなつた人間の事と違ふのか、とか、オタクはとんでもない差別主義者ぢやないの、とか。うん、うん、分かるなァ。

 “萌え萌えオムライス”を食べて以来、モヤモヤと考へ続けてゐた「“萌え”とは何か」といふ問題に関しても、この本は明確な定義を与へてゐる。“萌え”とは、小学生レベル・第二次性徴期以前のエロ概念をそのまま大人のフィールドに持つてきたもの、の事である、と。なるほど! もの凄く腑に落ちた! 

 これはオタクに興味のある全ての人にオススメしたい。いや、別に彼らの言ふ事が100%正しい、とか、さういふ事ではなく、閉塞気味の言論空間に風穴を開けるリアルな言説の収められた書として。とりあへず、中原昌也おもしろすぎます。

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