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Text by 小川顕太郎
2005年11月07日(Mon)

WB
読書・文学

 可能涼介来店。「これ、置いて下さいよ」と言ひながらドサッと渡されたのが「WB」といふ名のフリーペーパーの束。あ、これが前に言つてゐた「早稲田文学」のフリーペーパー化したやつだな。なるほど、「早稲田文学」だから「WB」か。

「それはさうなんだけどさァ、Wonderful BUNGAKU、とも掛けてあるんだよ。しようがねェよなァ。」

 なるほど、“愉しい文学”と大書してあるわ。……ふーん、薄いけど、スガさんや渡部直己も書いてゐるし、大西巨人の小説まで載つてゐるぢやないか! 巻頭が角田光代のインタビューだし、これ、文学に興味がある人なら十分楽しめるんぢやない。

「まあ、な。さういへば、飛田が潰されるんだよ、知つてた?」

 ええ! 知らない。再開発か何かで?

「まー、さうだらう。日本の恥、とか何とか思つたんぢやない? でも、あれは立派な文化だよなァ。」

 うーん、確かに惜しい。モッタイナイよなー、ッて、私は前を通つた事があるだけだけど。

「で、潰される前に、渡部さんが、見たい、ッて、言ふんだよ。貴重な記録として。

 だから一応オレが案内するんだけどさ。でも、オレ、いま大阪まで出る金がないんだよなァ。」

 ははは、確かに、金はない! な。

「東京にゐた時は、ブラブラ遊んでゐてもお金に不自由しなかつたけど、こつちに帰つてきてから大変だよ」

 東京に金が集中してゐるんだらうなぁ。京都も悲惨だよ。もう、ボロボロ。都市ぢやなくなつて来てゐるもん。うちもヤバいよ。

「さういへば、全然お客さんゐないね」

 その通り! もう、週末ぐらゐしか、まともにお客さんが来ないんだよ。マイッタなー。なんとかならんか?

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