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 Diary 2004・8月6日(Fri.)

ダメな奴

 オイシン来店。オイシンは、本日やつと畦石舎に行つてきたやうだ。私がオイシンを畦石舎に連れていつて先生に紹介し、道具を買ひ揃へるのを手伝つてから、約 2 ヶ月がたつてゐる。その間、オイシンは「仕事が…」とか「サッカーが…」とか「体調が…」とか、なんらかの理由をつけてズルズルと畦石舎に行くのを先延ばしにし、挙げ句の果てには「必ず行く」と宣言してゐた六轡会(先生の発表会)も、「すつかり忘れてゐました」とすッぽかす始末。すッぽかして何をしてゐたのかと言ふと、映画『スパイダーマン 2』を観てゐたのである。で、とうとう先日、(久しぶりに)トモコに鉄拳制裁をされた。全く、オイシンにも困つたものである。

 オイシン曰く、「スパイダーマンことピーター・パーカーのダメな奴ぶりが身に染みて、観てゐて辛かつたです」。ピーター・パーカーは、仕事には遅れる、授業にも遅れる、好きな彼女との約束はすッぽかす、といふ徹底したダメな奴。もちろん、なんで遅れたりすッぽかしたりするのかと言ふと、途中でスパイダーマンに変身して人助けをしてゐるからだが、実はそんなものは理由にならない! 考へてみれば分かるが、いくらニューヨークだからと言つて、いつもいつも仕事や授業に遅れたり、彼女と「絶対!!!」と固く交はした約束を破るぐらゐ、そんなに頻繁に事件が起こつてゐる訳がない。また、映画を観てゐても分かるけれど、大抵の事件は別にスパイダーマンが出動しなくても、警察が出れば済むやうなことである。つまり、「事件が…」と言ふのは、真の意味で言ひ訳に過ぎない。真剣に約束を守ろうといふ気がないのだ。自分の身の回りの事をキチンとすること、約束を守ること、の大切さがチットモ分かつてゐない。自分は大いなる力を持つた正義の味方だから、といふ特権意識の上にアグラをかき、他人との約束を軽くみるのは、とても傲慢な行為である。正に現下のアメリカ帝国を彷彿とさせる。人間とは、信頼関係によつて成り立つてゐる。それを守ることは、強盗を捕まへることなんかよりも、ずつと大事だつたりするのだ。だいたい、約束もキチンと守れない奴に、正義の大義名分は立たない。そんな奴の「正義」は、単なる「自己満足」に過ぎない。……あれ? オイシンを叱つてゐるつもりが、何故かスパイダーマンを叱つてゐました。

 それはともかく、本日リック・ジェームスが亡くなりましたね! ビックリしました。まだ若いのに。合掌。

小川顕太郎 Original: 2004-Aug-8;