京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 03 > 1029
 Diary 2003・10月29日(WED.)

健康増進法

 今年の 5 月 1 日に「健康増進法」なるものが施行されました。私は迂闊な者ですから、つい最近までこんなトンデモナイ法律が施行されてゐることを知りませんでした。これは読んで字の如く、国民の健康を増進するための法律です。第 2 条には「国民の責務」として以下のやうに定めてあります。

第二条
国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。

 …凄い。冗談かと思ひました、私。こんな、分かりやすいといふか、そのまんま、100 %の、所謂「ファシズム」丸出しの法律、本当に施行されたんでせうか。「ファシズム」といふよりは、「ナチズム」ですね、どちらかといふと。優性思想に基づいてゐる。…私の言ふことがよく分からない、といふ方もをられるかと思ひます。ので、ちと詳しく説明してみます。

 なるほど、「健康を増進すること」は別に悪いことではない。私も、不健康よりは健康の方が、自分にとつて都合がいいと思ひますので、健康の増進、といふか、維持にはそれなりに気をつけてゐるつもりです。が、これは個々人が勝手にやることであつて、国が介入することではない。国民の健康を国が管理する、といふことは、国民が国のために存在する、と言つてゐるのと同じことです。国民は、国をよりよくする(保つ)ためのツールだと。

 実を言へば、さういふ側面は確実にあるのです。なぜなら、あるていど国や社会が安定してゐないと、我々もおちおち暮らしてゐられない訳で、そのためには、人々はある程度自分を犠牲にし、社会に奉仕しなければなりません。それは、税金を納めることであつたり、犯罪を犯さないやうにすることであつたり、する訳です。要は法律を守ることで、なんでも自分勝手が許される訳ではない。が、物事には程度といふものがあります。あまりにも個人に犠牲を強ひる法律や、理不尽な法律は、やはり駄目でせう。

「健康増進法」は、理不尽な法律です。別に健康でないからといつて、社会にそこまで迷惑をかけることはありません。いや、違ふ! 健康でない奴がゐと、そいつは役に立たず、社会の足を引つ張ることになる! 退廃的な雰囲気が流れて、社会のモラルも志気も下がるんだ! 不健康な奴は社会の迷惑なんだ! と、言つて、ナチスは不具者を抹殺していつた訳でせう。そしてこの政策・思想が人種的偏見と結びついた時、ホロコーストといふ恐ろしい事態が起こつた訳ぢやないですか。人種的に劣つた連中は社会の迷惑だと。

 といふ訳で、この「健康増進法」はナチズム丸出しな訳ですが、日本のマスコミ及び知識人の人たちは騒いでゐないのでせうか。大がかりな反対運動が起きた、といふ話はきかないのですが。マスコミの人たちや知識人の人たちは、ナチスが嫌いぢやなかつたのでせうか。

「ボクの会社も、『健康増進法』のせゐで社内全面禁煙になつたんですよ!」とババさん。

「ボクは、そんなもんファシズムや! て言ふて、反対したんですが、みんな怪訝な顔をするばかりで、一向に相手にされませんでした…」

 うーむ、それは酷い。さうなのだ、この「健康増進法」、25 条に「受動喫煙の防止」といふ項目があつて、多くの人々が利用する施設は、「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」と定められてゐるのだ。もちろん、ここには飲食店も含まれる。つまり、これからカフェは全面禁煙、あるいは分煙にしなければならない…。

 アホか。かういふバカな法律は守る必要なし。まつたく、やれんよ。

小川顕太郎 Original:2003-Oct-31;