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 Diary 2003・12月14日(SUN.)

フセイン捕まる

 あれは、何時頃だつたらうか。確か 23 時を過ぎてゐたと思ふが、お客さんの一人が俄に騒ぎ始め、たまたまお皿を下げに行つたショウヘイくんにも何か話かけてゐる。笑いながら戻つてきたショウヘイくんが言ふには「フセインが捕まつたさうです」。あ、さう。私はいささか虚をつかれた形でさう答へた。なんらかの方法で(携帯か)、そのお客さんはこの情報を得たのだらう。他の席のお客さんにも、この情報を教へてゐる。そこで私がまづ思つたのは、やはりこの問題は世間の話題になつてゐるんだなァ、といふこと。次に、そのフセインは本物か? といふこと。そして最後に、もし本物だとして、どうするつもりなん? といふ事だ。

 このたびの戦争は、アメリカによる一方的な軍事侵略であつて、フセインは被害者、といふ事が「ほぼ」明らかになつてゐる。アメリカは、イラクが大量破壊兵器を隠し持つてゐて、それによつて世界に対する大規模なテロ戦争を行ふ計画を持つてゐるとして、他の国々の反対も押し切つて一方的に戦争に踏み切り、イラクを占領した。が、今に至るまで、当然のごとく大量破壊兵器も、テロ戦争計画の証拠も、何一つ見つけることができてゐない。やつぱりただのインネンだつたのね、てなもんだ。それでも、アメリカは自らが正しいと強弁するために、手前勝手な裁判かなんかひらいて、フセイン有罪! とか決めつけるのだらう。さういつたものを見せられるかと思ふと、ホントうんざりする。この世に正義は存在しないんだねェ、と、陳腐なセリフでも呟きたくなります。

 DVD で『座頭市兇状旅』を観る。これは座頭市シリーズの第 4 作目で、監督は田中徳三。一般的に座頭市シリーズは、最初の 3 作が面白くて、あとはシリーズ化の惰性によつて市が正義のスーパーヒーローみたいになつていくので、あまり面白くない、とされてゐるやうだ。私も、昔観たシリーズ後半の作品があまり印象に残つてゐないこと、最近観た最初の 3 作が非常に面白かつたことから、なんとなくこの説を信じてゐた。確かに、この 4 作から市には道化(ワイズフール)じみた愛嬌が出てきて、殺陣も緊張感よりは爽快感の方が強くなるやうに思はれる。ジッと構へて待ち、かかつて来る相手を斬り倒す、といふよりは、群がる敵軍の中に斬り込んでいく、といつた具合で、とても盲の役とは思へない。かういつたリアリズムの軽減が、評価の低下に繋がつてゐるのだらう。

 しかし、個人的な意見で言へば、この『座頭市兇状旅』は前 3 作に優るとも劣らなかつた。はつきり言つて、バチグンに面白かつたのだ。勝新、カッコよすぎ。ここには、正に「正義」がある。こんな所にあつたのか。

 斬りまくつておくれ、市ッつァん。

小川顕太郎 Original:2003-Dec-9;