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Movie Review 1999・11月12日(FRI.)

アナライズ・ミー

 ご存じクドい演技は天下一品のロバート・デ・ニーロと名作『シティ・スリッカー』や、アカデミー賞の司会で有名な(といっても数年、授賞式は見てないんです)、これまたクドいギャグのビリー・クリスタルの夢の共演作だ。大方の予想通り鈍重なギャグの応酬で、ファンには目眩がするほど嬉しい限り。

 デ・ニーロは神経症のマフィア。保険会社のしみじみコマーシャルを見て、つい 30 分くらい涙が止まらなくなったりして、気弱なことはなはだしい。『グッドフェロー』の頃のデ・ニーロなら、チンピラの頭をかち割るくらい平気なんだが、どうにもこうにも気が滅入ってならない。ひょんなことから(←便利な言葉です)知り合った精神分析医が B ・クリスタル。「神経症のマフィアのボスのカウンセリング」という、思いついても、2 時間近くの映画にしようなんて誰も思わないようなネタである。10 分くらいのコントが最適と思うが、そこはそれ、さすがはアメリカ映画で、B ・クリスタルの結婚話をからめたり、マフィアの抗争をからめたりとお約束の物語でキッチリ一本の映画に仕上げている。

 デ・ニーロはセルフ・パロディ的な役回りで、随所に『ゴッドファーザー』シリーズからの引用もあり、意外と笑かしてくれる。デ・ニーロの今回の演技プランは「セルフ・パロディではなく、マフィアのボスというものを再解釈する」らしい。さすがですね。セルフ・パロディに徹して自分を笑いものにした方がより笑かすものになったとは思ったり。

 爆発的に哄笑するシーンはなかったとは言え、イタリア系マフィアと、自分の職業のアホさ加減にウンザリ気味の精神分析医の価値観の衝突が見物ではある。デ・ニーロの弱気の原因を探るカウンセリングの行方が、いかにもありがちなところで決着するのもおもしろかったり。

 監督は、傑作『クローンズ』のハロルド・レイミス。って言っても『クローンズ』を見ている人なんて京都に 3 人くらいで(ボクが見に行ったとき、客は 3 人だった)誰も知らないだろうから付け加えると『ゴーストバスターズ』のビル・マーレイでなくダン・エイクロイドでもない 3 人目の人です。監督もやっているのだ。『クローンズ』同様、なかなかソツなくまとめております。若干『オースティン・パワーズ』パクってたりして。

 やっぱり、デ・ニーロのくどい演技は何者にもマネできない域に達していると思う。デ・ニーロ最高!(かな?)

BABA Original: 1999-Nov-12;

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