京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 99 > 1202
Movie Review 1999・12月02日(THU.)

娼婦ベロニカ

『娼婦ベロニカ』とは、いかにもモッチャリした邦題であるが、原題は“A Destiny Of Her Own”――「彼女自身の運命」…とはこれいかに。

 16 世紀末のベネチアが舞台。当時の女性は学問を禁じられ、持参金の多寡で結婚相手が決定されると言う立場にあった。どないしても好きな男と一発やりたい、学問もしたいということならば、コーティザンと呼ばれる高級娼婦になる道が残されていたそうな。フランス国王を籠絡して軍隊すら動かす、っちゅうことで、日本で言えば「傾城」ってヤツですね。高級娼婦となって、男性の所有物でなく自らの運命を我が物にしようと奮闘する実在の、イタリアでは詩人としても有名らしいベロニカ・フランコの半生を描く。

 ベロニカに高級娼婦のテクニックを伝授する母親を演じるのが、メチャクチャ久しぶりな気がする『アメリカの夜』、『ブリット』、『料理長(シェフ)殿、ご用心』などの美人女優ジャクリーン・ビセット。的を射た配役で見どころですな。

 主演のキャサリン・マコーミックは『ブレイブハート』に出ていたらしいが当方憶えておらず。おぼこい娘っ子からビッチへの変貌を演じる。エステとかのコマーシャルに出て欲しいところだ。相手役のルーファス・シーウェルは『ダークシティ』に出ていたヤツだが、「お前は貧乏だから、オレとは結婚できねえんだよ!」とか言っておきながら、相手が別嬪さんに変貌するや「オレと寝てくれよ〜」と態度をコロっと変えるフニャチン野郎を好演。さらに、偏執狂的なところのある敵役の詩人に『サイモン・バーチ』にも出ていたオリヴァー・プラット。イヤなヤツなんだが、ついつい応援。もっと主人公をいじめろ!

『恋に落ちたシェークスピア』同様、女性の地位向上を求めた頑張りを、コスチューム・プレイで華麗なロマンスとともに描く、って趣向であるが、クライマックスはアメリカ映画が得意とする法廷ものと化し、ついつい演説してしまったりして、ああ、なんか、やっぱりアメリカ映画だなあ、と感心。結局、女性がのし上がるにはエステにせっせと通って、性技も磨きなさいよ、ってことかなあ?

BABA Original: 1999-Dec-02;

レビュー目次