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 Movie Review 2005年5月19日(Thu.)

コンスタンティン

 天国と地獄のエージェント。ババーン! 『恋愛適齢期』『陽だまりのグラウンド』で好演、人気俳優キアヌ・リーヴス、ニコチン中毒エクソシストを演じます。

 なんでもアメコミの映画化だそうで、原作の功績か設定・世界観がガッチリ構築されてまして、リアル・ワールドもひと皮向けばもの凄い地獄、亡者/悪魔が現実世界にしみ出して悪をなし、それを退治するのがコンスタンチン、んで映画の冒頭、メキシコでナチスが埋めた「運命の槍」(キリスト処刑で使われた槍)発掘、それを持つ者は無敵の力を得て、だんだんロサンゼルスに近づいてくる、一方コンスタンチンは自殺事件を調べ中、みたいな盛りだくさんの大サービス、二部作くらいで描いてもよい密度、一気に物語が語られてもったいない感じの面白さでございます。

 監督はこれが劇場用長編デビュー、MTV出身フランシス・ローレンス。MTV出身監督は当たりはずれが大きい、というか、はずれが当たり前ですけどフランシス・ローレンスの場合は大当たり、左右対称の構図が多用されたスタイリッシュな映像が滅法カッコよく、このへんは『リバー・ランズ・スルー・イット』でオスカー受賞の撮影監督フィリップ・ルスローの功績もあるのでしょうけど、ハッとする斬新・新鮮なヴィジュアル満載、ヴィジュアルのみならず見事に一ヶの世界を構築、キャラ立ちもよいし、なかなか見どころあると見た。

 面白いのは、「喫煙者の完全撲滅殲滅をめざす明るく楽しく健康・長生き協会」推薦映画かー? と思わせる設定でして、ネタバレですがコンスタンチンは末期肺ガン、なのに煙草吸いまくりポイ捨てしまくり、実はかつて自殺を企てたことあり、キリスト教カソリックで自殺は大罪、どうせ天国行けないしー、とヤケのヤンパチで煙草吸いまくっているという設定。

 なるほど自殺が大罪なら、「喫煙はゆるやかな自殺」と申しますから、煙草を吸う=ゆるやかな大罪。さらにネタバレですがそんなコンスタンチンも地獄行きだけは絶対イヤ! と、トンチを駆使して天国行き切符を手に入れ、煙草もすっぱりやめるというお話なんですよー。煙草吸ってると地獄に堕ちるよ! 煙草やめて天国に行こう! という、最高に素晴らしいPR映画となっております。

 しかしながらキアヌ・リーヴスがアンチヒーローを好演、煙草吸いまくるのが滅法かっこよく、『スーパーサイズ・ミー』を観ると無性にマクドナルドが食べたくなると同様、この『コンスタンティン』観ると、ついつい煙草を吸いたくなるのではないでしょうか? …って、そんなヤツぁ天の邪鬼な私だけですね。失礼しました。

 というか、キアヌ・リーヴスがあまりにも魅力的に煙草を吸いまくるから、「全米禁煙ファシスト党」の抗議をかわすため、禁煙オチをとってつけたのではないか? と愚考いたします。ダメ押しでエンドタイトル後にまで禁煙アピールする念の入りよう、ここまでしつこいアピールは、こっそりトイレで吸っているはずだよコンスタンチン! というか、禁煙ファシズム吹き荒れる中、キアヌ・リーヴスがすぱすぱ煙草吸いまくり、「神は気まぐれなガキだ!」などと言い放つのはなかなかに痛快でございました。

 ともかくコンスタンチン駆使する悪魔退治の秘密兵器もアホっぽくてカッコよさ炸裂、オススメです。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2005-May-17;