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 Movie Review 2005年6月28日(Tue.)

ライフ・アクアティック

 人生は、海だ。ババーン!

 ヴィデオで見た『天才マックスの世界』はなかなかの傑作であったウェス・アンダーソン監督の新作は、『素晴らしき世界旅行』ジャック・クストーを彷彿とさせる海洋冒険家にしてドキュメンタリー作家スティーヴ・ズィスー(ビル・マーレイ)、仲間を食い殺した幻の“ジャガー・シャーク”を探しだし、ブチ殺そうとする旅の顛末を描きます。

 お話だけ見れば、ジャガー・シャーク捜索、海賊の襲来など、波瀾万丈的大冒険なのにビル・マーレイ、アンジェリカ・ヒューストン、ウィレム・デフォー、怪演というか、やる気があるのかないのかさっぱりわからないダラダラした演技、ゆるくてぬるい間抜けさが漂い、ツボのはずし方がツボにはまって「静まりかえった映画館でこれ見よがしに大声で笑う、スノッブ(俗物)映画ファン」になってしまった私なのでしたー。ってかなり可笑しいシーンあり。やっぱりウィレム・デフォー最高です。

 チーム・ズィスーのユニフォーム、赤いキャップ、名前入りアディダスのシューズなどなど、お洒落なのか何なのかよくわからない感じがグー、美術・小道具・大道具・演出・音楽、ディテイルに凝りまくって、1950〜60年代くらいの科学・冒険読み物的グラフィック感覚が気色よく、チーム・ズィスーが乗る海洋探索船「ベラフォンテ号」を実物大断面図で紹介、小松崎茂画伯が描きそうな感じ、その断面のままドラマが進行するのはゴダールの『万事快調』を思い出したごだある。

 閑話休題。なんでも「ベラフォンテ号」断面などセット撮影はフェリーニが多くの作品を作ったチネチッタ・スタジオで行われたとか、ロケもヨーロッパ、それもあってか50〜60年代ヨーロッパ映画の雰囲気ありつつ、ゆるゆるなチームワークは『ハタリ!』などハワード・ホークス監督作品の雰囲気、しかしマッチョでタフガイな父性はここには存在しないのであった…。ってよくわかりません。

 また、ギターでデヴィッド・ボウイーのボサノバ調カヴァー曲を歌っているセウ・ジョルジは『シティ・オブ・ゴッド』の「二枚目マネ」! って全然気がつきませんでしたが。

 また妙チクリンな海洋生物の数々はCGではなく、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督によるストップモーションアニメ! っててっきりCGだと思っておりましたが。

 とにかく、ゆるゆるな雰囲気をお楽しみいただければよろしいかと。オススメ。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2005-Jun-28;