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 Movie Review 2005年1月17日(Mon.)

TAXI NY

 この女、ブレーキ知らず! ババーン! フランス映画『TAXi』(リュック・ベッソン製作/ジェラール・ピレス監督)、舞台をニューヨークに移し、色々工夫してリメイク。私の見る限りリュック・ベッソン製作版よりはるかに面白く、手慣れた感じの痛快娯楽作に仕上がっております。

 主人公タクシー運転手が黒人女性に変えられ、演じるはクイーン・ラティファ!! …って、よく知らないのですが、「U.S.A Rap's first lady」(米ラップ界の大統領夫人?)と呼ばれる方だそうで、ちょこちょこ『シカゴ』など映画にも出演、ついに堂々主演作です。

 主人公のタクシーは、バリバリのフルチューンアップ改造車、オリジナルではなぜ、そんなタクシーなのかがよくわからないのですけど、黒人が主人公となれば妙に説得力がありますね。

 私的にポイントが高いのは、自転車がニューヨークを駆けめぐるオープニング、タクシーの映画かと思いきやメッセンジャーですか? と意表を突くのが小憎いです。メッセンジャースタイルのクイーン・ラティファが滅法カッコよく、掴みはバッチリです(私的には)。ごついクリプトナイトのロックをタスキがけにしているとか、ファッション的にも参考になります(私的には)

 それはともかく、スピード狂タクシー運転手と、運転ができないダメ刑事の凸凹コンビが銀行強盗を追っかけるという基本設定はそのまま、ですが黒人女性クイーン・ラティファと米テレヴィ『サタデー・ナイト・ライヴ』の人気者白人ジミー・ファロンのコンビネーションがまず素晴らしいです。

 脚本もよくできてまして、リュック・ベッソン版では希薄だった、タクシー運転手の悲哀・ダメ刑事の負け犬ぶりがそこはかとなく描きこまれており、凸凹コンビがいがみ合いながらも友情を結び、クイーン・ラティファの見事な黒人流指導で、ダメ刑事ジミー・ファロンがクルマの運転をマスターするシーンは、なかなか感動的だったりします。

 さらに銀行強盗が美女軍団なのも巧い設定です。リーダーを演じるのはブラジル人スーパーモデル、ジゼル! …って私はよく知らないのですが、スーパークールで素晴らしくかっこよいです。

 スーパーモデル級美女を共通の敵として、太めの黒人女性と盆暗白人男性が共闘を結ぶという図式で、滋味深いお話となっております。スーパーモデル級美女犯罪者=勝ち組を、低賃金プロレタリア黒人女性と負け犬白人が、トンチを駆使してやっつけるわけで、思わず胸のすく思いを味わいました。

 監督は『バーバーショップ』(私は未見)のティム・ストーリー。風俗・人物描写が巧いです。カーチェイスアクションも極力デジタルを使わず、ニューヨークの街中でスタントドライバーの超絶テクがド迫力で炸裂、バチグンのオススメです。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA
Original: 2005-Jan-16;