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 Movie Review 2003・11月17日(MON.)

フレディ VS ジェイソン

 二大ホラー・スターが大激突! ババーン! …って、先頃『ジェイソン X』という、ジェイソンが宇宙に飛び出して大暴れ、みたいなどうでもいい 10 作目が封切られた『13 金』、かたや 94 年に 7 作目が製作されたきりの『エルム街』、このまま消えていくか………と思いきや、まさかまさか、手に手をとっての大復活です。ババーン!

 もはやシリーズ存続は風前の灯火……と、フレディも自覚しており(ジェイソンは何も考えてない)、その辺がストーリーにうまく組み込まれてたりして、というか、10 年越しの企画、脚本が練りに練られて、この『フレディ VS ジェイソン』、めーちゃくちゃ面白い! 『キル・ビル』もビックリの面白さ、というか、『キル・ビル』にしても、この『フレ・ジェイ』にしても「色物」なのに、この面白さはどうしたことか? やはり「映画革命」? と一人ごちたのでした。

『13 金』も『エルム街』もコアなファンの方がおられ、私などはどちらのシリーズも 2 〜 3 本しか見ておらず、全編に散りばめられているはずの小ネタの数々が判るわけではないのですけど、それは『キル・ビル』と同じ、とりあえずグシャッ、チュイーン、ドシャッ! と首がもげ、胴体は真っ二つ、血しぶきが飛び散りまくるスプラッター描写の数々に大笑いしたのでした。

 私、どちらかといえばリベラルかつ偽善的な人間なので、映画にスプラッター描写を持ち込むことに批判的たらんとしているのですが、「必然性」があればスプラッターもまたよし、というか、両シリーズの肝は何か? それはスプラッターである、という当たり前のことを今回再確認しているわけで、「そうそう、こういう『13 金』『エルム街』が見たかった!」と思わずごちる夢の映画となっております。スプラッター映画に「スリル」「サスペンス」あるいは「ミステリー」など必要ないのですね。例えば、『スクリーム』シリーズは、スプラッター映画にオマージュを捧げていますが、「犯人は誰か?」みたいなどうでもいいミステリーに脱力したもので、『13 金』『エルム街』ともに、ステレオタイプな薄っぺらいキャラを問答無用でスプラッターに殺しまくるのが、ただ気持ちいい、って、どちらもシリーズを 2 〜 3 本しか見ていないのでよくわかりません。

 それはともかく、フレディ派か、ジェイソン派か? と問われれば私は迷わず「フレディ派である!」と言いたい。というのもフレディは、映画のキャラ造型におけるもっとも優れた資質を持ち合わせています。それは「意地悪」だ! 今回フレディの意地悪さが炸裂、「意地悪キャラ好き」の方も大満足ではないでしょうか。

 監督は、ちょっと面白かった『ケミカル 51』のロニー・ユー。フレディ VS ジェイソンのガチンコ勝負といえば、「怪獣プロレス」みたいなもので、眠くなること必至のところ、あれこれ趣向を凝らしてお見事でございます。また、デスティニー・チャイルドのケリー・ローランドが、きゃあきゃあ追いかけられるヤングの一人として出演、フレディに追いつめられ、「ラップ」で反撃、フレディもタジタジになるシーンは、「ラップは、黒人にとっての武器である」ことを示す名シーン、ソウルミュージックファンの方にもバチグンのオススメです。

☆☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-nov-16;

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