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 Movie Review 2003・8月13日(WED.)

バトル・ロワイアル 2
鎮魂歌(レクイエム)

 深作欣二の遺作『バトル・ロワイアル』の続編を、息子・深作健太が「健太やります!」とおっしゃったかどうかは知りませんが、初監督です。

 さて、「BR 法」もヴァージョンアップして、「BR II」となり、今回 3 年 B 組諸君は、前作の主人公・七原秋也君を殺しに行く任務を与えられます。七原君は、テロリストとなって、「軍艦島」にたてこもっているのであった。

 映画の冒頭、まず、3 年 B 組諸君は選択を強いられます。七原君を、殺しに行くのか?/行かないのか?

「行かない」と答えればその場で首輪が爆発してゲームオーヴァーなので、この場は「行く」と答えるのが正解だと思うのですけど、何をトチ狂ったのか、一人の男子生徒が「行かない」と言い出します。さては目立ちたがり屋さんか?

 問題は、その死ぬ間際です。「オレは行かないぞー、行くもんかー!」と駄々をこね、クラスメートは「こっちへ来い! わーわー、死んじゃうぞ! きゃーきゃー」、大騒ぎの愁嘆場が繰り広げられます。ここで、私は、こんな映画も可能なのか! と、その斬新さに度肝を抜かれた。

 こういうクライマックスは、キャラを立ててから繰り広げるのが普通でしょう? 一体、この男子生徒はなぜ、かような駄々をこねているのであろうか? と呆然としているうちに、ぼかんと首輪が爆発、即死、持っていたラグビーボールがころころ転がり、そこには寄せ書きの文字が大写しに。クッキリと「仲間」の文字が! ババーン! チャララーン。凄い! 伏線も布石も何にもないですね。「いきなり最終回」もビックリです。それからも、3 年 B 組諸君は、キャラを立ててもらうヒマなく続々と、阿鼻叫喚の愁嘆場を繰り広げながら死んでいきます。…うーむ、かつてこんなに、映画の中の人だけで勝手に盛り上がる映画があったでしょうか?

 と、申しましょうか、『バトル・ロワイアル』は、仲良しクラスメートが一転、凄惨な殺し合いを始めてしまうところに面白みがあったのですが、今回、クラスメートが協力して、七原君を殺しに行くという普通のお話になっており、その点残念でございますね。

 そんなことはどうでもよく、9.11 同時多発テロ以降の、「大人たち」のアメリカ追随姿勢を批判し、テロリストに対する共感が表明されている、と思うのですけど、アメリカが「あの国」と言い換えられていたりして、何だかよくわからない映画になっているのでした。

 ともかく、例えば、『ターミネーター 3』は、それ以前の『ターミネーター』シリーズのどこが面白かったのかを研究しまくった跡が見受けられ、すこぶる愉快だったのとは対照的に、この『バトル・ロワイアル』続編は、そこんところの、勘所を見間違えている、と、私は一人ごちたのでした。

 竹内力好きの方は、お楽しみいただけるかも知れませぬ。一瞬、北野武が登場、そこだけ無闇に素晴らしいのでオススメです。

(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Aug-13;

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