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 Movie Review 2002・10月19日(SAT.)

ロイヤル・
テネンバウム

 長男チャスは 10 代にして国際金融業に手を染め、長女(養女)マーゴは少女の頃から戯曲を書き、懸賞金を得、二男リッチーは全米ジュニア選手権で三連覇を成し遂げるテニス・プレイヤー、という天才ぞろいの一家の長、ロイヤル・テネンバウムは「世界一身勝手な男」だったのだー。もうワクワクドキドキですね。ババーン!

 ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティーラー、ビル・マーレイ、グウィネス・パルトロウ、ダニー・グローバー…と、芸達者が集結、一見、抱腹絶倒コメディを予感させるのですが、雰囲気としては『ハピネス』『マグノリア』みたいなー、若き才能溢れる映画オタク監督が、様々な引用を散りばめて「アメリカ白人プチブル家族の崩壊と再生」を描く、爆笑できない重たい映画。または『ガープの世界』のジョン・アーヴィング的な、微妙にメランコリックなアメリカ文学。

 70 〜 80 年代のロックンロールに乗せて、短いカットを積み重ね、アレック・ボールドウィンのナレーションで大忙しに語られていく感じは、スコセッシの『グッド・フェローズ』に似ておりますね。様々なスタイルを用いるところは『市民ケーン』を思わせますし、画面にアルファベットを散りばめるのはゴダール的、左右対称の構図はキューブリック的、と、並々ならぬ映画的教養をうかがわせます。監督は『天才マックスの世界』(日本劇場未公開)のウェス・アンダーソン。

 …というかー、そんなことはどうでもよくて、こんな話なら、別に「天才一家」の設定でなくていいじゃん? と思うのです。いや、そんなこともどうでもよく、テネンバウム家の向かいの家の息子役オーウェン・ウィルソンは『エネミー・ライン』の主演でしたが、ウェス・アンダーソン監督の友人であり共同で脚本を執筆したのだという。ふーん。

 とりあえずヴィデオで『天才マックスの世界』を見ようと思いました。『ハピネス』『マグノリア』が好きな方にはオススメかも? 知らん。

☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Jan-19;

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