京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 02 > 1121
 Movie Review 2002・11月21日(THU.)

ショウタイム

 デ・ニーロとエディ・マーフィ共演による、アメリカお得意の、「バディ・ムーヴィー」刑事アクションです。これまでにデ・ニーロは『容疑者』や『15 ミニッツ』で、一方エディ・マーフィは『ビバリー・ヒルズ・コップ』で刑事を演じております。今回、これまで演じてきた刑事像をほぼ引き継いで、デ・ニーロは、謹厳実直・真面目一徹刑事、マーフィは映画出演を夢見る軽佻浮薄な警官、この異なるタッチの二人をコンビにし、彼らをケーブルテレビが取材するという設定です。リアリズムとエンタータインメントの対立を、エンタータインメントに仕立てる、ちゅうわけですね。「刑事アクション」による「刑事アクション批評」という自己言及的な、ヒネリがある。

「現実にはテレビのような刑事はいない!」とエンタータインメント批判していた地味地味デ・ニーロですが、ケーブルテレビの取材のために、部屋はテレビウケするよう模様替えされ、クルマも馬鹿っぽいものに代えられ、ついには街中で荒唐無稽大カーアクションを繰り広げるに至る…という具合に、どんどん「テレビ/映画的」刑事に変貌していくのが面白いですね。カメラに写されることによって、リアリズムが崩れ落ちていく。「自然は芸術を模倣する」と申しましょうか。原理的にリアリズムを貫徹できない映像メディアの本質を暴き出しているのである。適当。

 結局アホアホアクション映画になってしまうのですが、「刑事映画のリアリズムとは?」との考察がおこなわれているので、馬鹿アクションにも奇妙なリアリティがあります。たいしたアクションではないのですけど、思わず手に汗握ってしまいました。

 監督はトム・デイ(ジャッキー・チェンの『シャンハイ・ヌーン』)。『シャンハイ・ヌーン』よりは随分と良いですね。デ・ニーロのコメディ演技は少々寒いですが、エディ・マーフィのフォローで救われております。ちょっとした拾いモノ。オススメ。

☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Nov-21;

レビュー目次