京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 02 > 0618
 Movie Review 2002・6月18日(TUE.)

アイ・アム・サム

公式サイト: http://www.iamsam.jp/

「7 歳程度の知能」の持ち主サム(ショーン・ペン)は、スターバックスで働く日々。さすがアメリカ・スターバックス! 障害者の雇用問題にも真剣です。いや、我等がカフェ・オパールにもかつてアイ・アム・オイシンという…おっと脱線。はからずもホームレスの女性に赤ん坊を押しつけられ、父親となってしまったサムは、大好きなビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンヅ」にちなみ「ルーシー」と名付け全身全霊傾け子育てに励むます。

 しかし、福祉局役人に「ルーシーが成長してあなたの知能を追い越してしまったら子育てなんて無理!」と離ればなれにさせられ。サムは、ロサンゼルスで一番の敏腕弁護士リタ(ミシェル・ファイファー)をムリヤリ雇い、親権確保の訴訟を起こします。サムはルーシーとの幸福な日々を取り戻せるのでしょうか? ダダーン!

 さてサムとは何者でしょうか? サムとは、「アンクル・サム」のサムであり、「サムの息子」のサム、すなわち理想のアメリカ人を象徴する名前なのですね。サムは知能が低いから子育ては無理だと言われる。では高い知能の持ち主なら大丈夫なのか? 有能な弁護士リタは夫に浮気され、息子との関係はギクシャクしがち、常にストレスにさらされてあくせくと分刻みのスケジュールに追われています。一方のサムは、まず家族こそが大切なのである、自分の娘と過ごす時間にこそ幸福が存在する、との確信がある。この点において、サムは偉大なアメリカ人なのですね。アメリカ人よ、仕事に追われるのはやめてもっと愚鈍に家庭の幸せを追求せよ、とこの映画は語りかけており、まさしく家族・家庭を大切にしない民主党リベラルを皮肉った『フォレスト・ガンプ』の 2002 年版となっております。

 そうはいっても子育ての正否は、子供がどう育つか? にかかっているわけですが、裁判で証言させられるルーシーは決然と言い放ちます。「All You Need Is Love」と。親がサムでも子は育つ! というか、親がサムだからこそ、ルーシーは素晴らしい人間に育ちつつある。私は呆然と感動の涙を流したのでした。

 そんなことはどうでもよく、脚本・監督は『コリーナ、コリーナ』のジェシー・ネルソン。ジャンプカット、手持ちカメラのドキュメンタリータッチと、スティーヴン・ソダーバーグっぽいなー、と思っていたら撮影はソダーバーグとのコンビで知られるエリオット・デイヴィスでした。絶妙のタイミングでビートルズナンバーが挿入され、なんというか、サムの手が砂糖袋を整理するオープニングからラストのサッカーシーンまで、映画のすべてが名シーン。泣きまっせ。さらにショーン・ペンもさすがの演技派、娘役のダコタ・ファニングも最高! 偉大な女優の誕生の瞬間です。

 いや、そんなことすらどうでもよく、『ディープ・エンド・オブ・オーシャン』『ストーリー・オブ・ラブ』と「家族の大切さ」を訴えさせれば世界一のミシェル・ファイファーがまたまた最高!

 日々の仕事・生活に疲れた方に、『アイ・アム・サム』を見て泣け! と声を大にして私は言いたい。

『アイ・アム・サム』を見て泣け!

☆☆☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Jun-18;

レビュー目次