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 Movie Review 2002・7月3日(SAT.)

ハイ・クライムズ

 若奥様アシュレイ・ジャッドは敏腕弁護士にて、ひたすら夫ジム・カヴィーゼル(『シン・レッド・ライン』)と子づくりに励む幸せ一杯な日々を過ごしています。しかーし、楽しくお買い物中、旦那がいきなり FBI に拉致監禁され。

 実は旦那は、エル・サルバドル市民 9 名の殺害容疑がかけられた海兵隊脱走兵で、軍事法廷にかけられ、ことによると死刑になると言うではあーりませんか。アシュレイは愛する旦那を取り戻すことができるのでしょうか? ババーン!

 さて事件を調べるうちに明らかになるのは、海兵隊の悪行。エル・サルバドルでアメリカの学生がテロの巻き添えで死亡、海兵隊が派遣され、ゲリラの根拠地と目される村で虐殺をおこなった、というものです。他国に対する主権侵害は当然、とのアメリカ軍の態度は恐るべし、ですね。

 海兵隊ならびに軍隊による事件がくりかえされるのは、軍事法廷が基本的に非公開であり、判事の独断がまかり通る有様、民主主義が徹底されておらず、結局ウヤムヤにされてしまうからだ、と、この映画は鋭く批判しています。『ア・フュー・グッドメン』『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』などの“軍事法廷批判もの”の流れに沿う一本。かように政治的な主張をオモシロおかしくサスペンスドラマに仕立てるアメリカ・プロパガンダ映画はやっぱり凄いわ、と呆然と感動したのでした。

 そんなことはどうでもよく、アシュレイと協力する凄腕弁護士役にモーガン・フリーマン。『コレクター』に続いてアシュレイ・ジャッドと共演です。アル中の過去を持ち、聞き込みにセックスワーカーを使うなど、清濁あわせ呑むダーティ弁護士でキャラがピンと立ってグー。

 他方、アシュレイ・ジャッドは、「はたして私の夫は殺人マシーンだったの? 何者?」と揺れ動く妻、という役なんですけどね、旦那は殺人マシーンかも? と思った途端にサッと愛が消えてしまうのはいかがなものか? さすが弁護士はドライ! と思いつつも話にヒネリを加えすぎてよくわからないキャラになってしまったようです。どうでもいいんですが。

 監督は、『母の眠り』でもガッツのある演出を見せたカール・フランクリン。サクッとがんばっておりますね。

 アメリカ政治映画好きにはオススメ。

☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Jul-03;

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