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 Movie Review 2002・2月2日(SAT.)

プリティ・プリンセス

『プリティ・ガール』『プリティ・ブライド』に続く《プリティ》シリーズ第三弾! …といいつつ、ジュリア・ロバーツ、リチャード・ギアとは何の関係もない、単なるゲーリー・マーシャル監督によるディズニー作品。ワクワクです。

 サンフランシスコの高校生ミア(アン・ハサウェイ)は、メガネ、ボサボサヘア、モジャモジャ眉のクラスで目立たぬ存在。ベンチに座っていても、上にうっかり座られたりする始末(そんなヤツぁおらんやろ)。ある日。彼女はヨーロッパの小国「ジェネヴィア国」の王女であると告げられ、祖母ジュリー・アンドリュースによる帝王(?)教育が開始され…っつうですね、今どき少女マンガですら描かれないっつうか、描きようがなくなった夢物語再生の試みです。

 高校における階級制度を描くのが近頃のアメリカ映画の流行ですが、この映画もその辺を取り入れておりまして、そういうサンフランシスコの高校生風俗が見どころですかね。ミアの唯一の友人リリー(『ウェルカム・トゥ・ドールハウス』のドーンことヘザー・マタラーゾ)は、環境問題とフェミニズムが関心事の、クラスの変わり者。主人公ミアと友人リリーは、まあクラスののけ者同士で仲良くやっておったのですが、ミアはジェネヴィア国の一流美容師によって、アッと驚くクール・ビューティに変身。すっかり美人になったミアをリリーは猛然と批判します。

「何よ、そのチャラチャラした頭、その媚びを売る化粧は! あんたは外見より中身の人だと思ってたわ! あんたなんか大ッ嫌い! 絶好よ!」

 …おいおい、唯一の親友のメイク & ヘアが変わっただけでその言い様は何なんだ? お前こそ人を外見で判断しているんじゃないか? と小一時間問いつめたい。私は、思わぬ展開に、矛盾に満ちた思春期高校生の姿を見事に描ききってる! と、呆然と感動したのでした。

 ミアは急に美人になった理由をリリーに打ち明けます。王女になるためと知り、リリー答えて曰く「きゃあ素敵。私、断然応援するわ!」…何なんだ、この変わり身の早さは。ヨーロッパの王女様なら男性に媚びを売ってもいいってことか? 王族という権威には敗北せざるを得ないアメリカン・フェミニズムの限界を暴いた作品と言えましょう。それはともかく、メイク・髪型で人の印象って随分変わるもんですね。今さらながら。

 そんなことはどうでもよく、主人公ミアの行動もツッコミどころ満載、なんか登場人物全員脳足りんだらけ、何だかよくわかりませんがアメリカ人のヨーロッパ・コンプレックスが顕わになってる感じ、ユーロピアン王侯貴族気分を味わいたいなら、ぜひディズニーランドへお越しください、ってところでしょうかね。夢想家の方にオススメ…と言いつつ、なかなかに面白かったです。実際のところ。

BABA Original: 2002-Feb-02;

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