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Movie Review 3月9日(THU.)

楽園をください

 大傑作『グリーン・ディステニー』のアン・リー監督による、アメリカ南北戦争秘話。二つの大戦+ベトナム戦争よりも多いアメリカ人犠牲者を出したらしい南北戦争で、もっとも悲惨な戦闘が行われたと言われるミズーリとカンサスの州境、すなわち南軍・北軍の境目で、南軍ゲリラに参加した若者たちを描く。

 アメリカ合衆国と言えば現在では「世界の憲兵」を標榜し、世界中に軍隊を派遣、良いか悪いか、他国の内戦を調停しまくっている。そのアメリカ自身が約 200 年前には、内戦の悲劇を経験していた、という忘れかけていた事実を思い起こさせる映画。他国の内戦に無関心な層に対して「アメリカだって昔は内戦してたんですよ、内戦はこんなに悲惨なんですよ、アメリカの平和維持活動に理解を」とアピールせんとする映画なのである。知らん。

 ともかく、トビー・マクガイヤの成長物語を追っていく、アン・リーの巨匠感漂うゆったりとしたタッチは絶品で、『グリーン・ディステニー』のようにもの凄いことにはなってはおらぬが、良い。なんといっても近頃流行りの MTV 風演出と無縁な、オーソドックスな演出が気持ち良い。南部の風景も美しいし。

 その他、『ベルベット・ゴールドマイン』のジョナサン・リース・マイヤース、『バスキア』のジェフリー・ライト、『シン・レッド・ライン』『ペイ・フォワード』のジム・カヴィーゼルなど若手有望俳優が出演。南軍ゲリラの一人、ジェフリー・ライトは黒人なのだが、なぜ「奴隷解放」を謡う北軍ではないのか? とか、面白い。たんたんとオススメ。

BABA Original: 2001-Mar-09;

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