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Movie Review 2000・11月24日(FRI.)

カノン

公式サイト: http://canon-jp.com/

 アニエス・b が大絶賛、これってお洒落なフレンチ映画かも? と勘違いした観客を、いきなり馬肉の解体シーンでドギモを抜いた傑作短編『カルネ』の、満を持しての続編だ。馬肉屋の親父を全面的にフィーチャー、馬肉屋親父ファンを狂喜させる爆笑巨編。…っても他の観客は誰も笑ってないみたいなので気をつかうんですけど。

 続編だが、冒頭、『カルネ』の物語を含む馬肉屋の半生が手短に語られるので、『カルネ』を見ていなくても充分楽しめる(楽しめる?)ようになっている。親父は『カルネ』後、片田舎の、太った女給の家で居候状態。パリー育ちのパリっ子である親父にはたまらん生活。女給とその母親をはり倒し、後先考えずにパリへと戻る。手には 300 フラン、まあ、昔の馬肉屋仲間に頼めばすぐ職も見つかるだろうとタカをくくっていたが、どうにもならず、ブツブツ世界に対する呪詛の言葉をつぶやきながら延々パリの街をうろつきまわってポルノ映画もちょっと見て、というストーリー。

 この親父のつぶやきが素晴らしく笑わせてくれる。「今度生まれかわったらオレはポルノ映画をつくるぞ」「ポルノだったら物事は簡単だ。固くて長持ちするのがいいチムポだ」「オレはチムポだ!」…などなど。

 ゴダールに影響を受けたとおぼしき字幕の使い方が、これまたおかしい。「モラルとは何か?」「正義とは?」…などなど。極めつけは「注意! この後、えげつないシーンがあるぞ。映画館を出るなら後 30 秒以内に!」とカウントダウンが始まる。その後のシーンは期待するほどえげつなくもないんだけど、わざわざご注意してるのは、フランスの観客の過敏さを茶化しているのかしらん。

 フランス映画が苦手な方にもこればっかりはオススメだ。

BABA Original: 2000-Nov-24;

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