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Movie Review 2000・11月15日(WED.)

悪いことしましョ!

 映画好き(ごく一部)の間で評価が天まで高まりつつあるブレンダン・フレーザーの新作。『ジャングル・ジョージ』『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』『タイムトラベラー/きのうから来た恋人』などなどで、パッと見は二枚目かも? なのだが実はボンクラ、という役を演じさせたら世界一である。コミカルな役が多いが『ゴッド・アンド・モンスター』では、シリアスな演技もオッケーなところを見せた。

 今回演じるのは、しょむないジョークを飛ばして周囲を脱力させ、避けられがちなボンクラ君。オープニング・タイトルは、デザイン過剰のカイル・クーパーひきいるイマジナリー・フォーシス担当で、なんだかよくわからないけれど都会の人々に次々にレッテルを貼っていく、という趣向。ブレンダンに貼られたレッテルは“Lovesick”=とにかく人に愛されたくてしょうがないヤツ、とか“Doormat”=人に踏みつけにされがちなヤツ。

 会社の同僚のアリソンが好きでたまらないのだけど、当のアリソンからは、4 年も一緒に働いているのに「あなた、誰だっけ?」とか言われる始末。そんな彼の前に「悪魔」が現れ、願いを叶えてやろうと有り難いお言葉。悪魔を演じるのは『オースティン・パワーズ』でおなじみエリザベス・ハーレー。普通、こういう場合、願いは 3 回が相場なんだが、顧客満足の一貫か、7 回と大盤振るまいで気に入らなければキャンセルも可能。お得。代償は例によって「魂=ソウル」。うへぇ、そりゃ困るとブレンダンも一旦は拒否するが、「そりゃジェームズ・ブラウンのソウルならたいへんな価値があるけど、あんたのソウルなんか、どうでもいいじゃん!」とか言われて根がボンクラ、あっさり契約書にサインしちゃう。

 で、以降は望みを叶えてもらうが、実は落とし穴があって…とお約束のパターン。大金と権力が欲しい! と願って南米の麻薬王になってみたり、みんなに好かれるスポーツ選手だ! と願って身長 2m 45cmのバスケの選手になったり、と一本でブレンダン・フレーザーの様々なタイプのボンクラ演技が楽しめる超お得作。とにかくブレンダン最高! ハラショー。現世で何事かで成功を収めんと欲すれば、悪魔に魂を売り渡さねばならぬという真理もあらためて学べるし。一方の悪魔、エリザベス・ハーレーも登場するたびにモラルなき婦人警官・看護婦・女教師などの扮装で登場、悪徳を説くのがいちいち素晴らしい。

 なんかスタンリー・ドーネン監督作のリメイクらしいが、それはどうでもいい。今回の監督はハロルド・ライミス。『ゴーストバスターズ』 3 人組の一人です。監督業に進出、最近ではデ・ニーロ主演の『アナライズ・ミー』ってなショボいコメディを撮っていたが、マイケル・キートン主演の『クローンズ』はなかなか傑作でしたなぁ。誰も知らんか。今回はブレンダン・フレーザー+エリザベス・ハーレーのコンビが最高であり、撮影は『バウンド』『マトリックス』のビル・ポープ。エリザベス・ハーレーのイギリス風のアクセントと相まって、アメリカン・コメディには珍しくヨーロピアンな陰影の濃い雰囲気。近年マレに見る大笑いができるコメディ。初日・最終回の観客は 5 人ほどだったがみんな大笑いしてたぞ。ワタクシ的にはこの秋、最高のオススメ。早く見に行かないと終わっちゃうヨン。

BABA Original: 2000-Nov-15;

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