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Movie Review 2000・5月17日(WED.)

ロミオ・マスト・ダイ

 …それに加えて最後の敵も最高。ついいましがたまで、仲間を裏切ったり、不意打ちしたり、銃や爆弾をがんがん使って相手を殺してた筈なのに、主人公であるところのジェット・リーと対峙するにいたっては、何故だかやっぱりカンフー勝負に持ち込んでしまう。相手は世界最強の空手家なんだし、およしなさいよ、て感じだが、観客も大いに期待しているのだからもう今さらやめられても困る。

 そう、はっきりいってお話なんてどうでもよい内容のこの映画は、詰まるところ最高の痛快カンフーアクション映画程度なんである。カンフー。

 概してハリウッドの拳法アクション系の映画だと、自分が分が悪いと気付いた途端、その悪役はなんとはなしに凶器などの武器を持ち出してきてしまっては結局その自らの武器によって死んでしまうことが多い。わたくしめは(主人公)、殺すつもりまではなかったんですけどね、といった表情なんかで締めだ。それはそれで大好きなのでよい。

 しかしジャッキー・チェンやリー・リンチェイの闘いにはそんな姑息な駆け引きは無いのである。彼等の対決というのは馬鹿馬鹿しいけど爽快なのにきまっている。勝ちっぷりも負けっぷりもあいこ。今回のも滅法いかしてる。実際に只今現在ジェット・リーが世界最高のカンフーアクション俳優なのだから、その手のファンはほくほくしながら観に行くべきであるし、彼をあまり知らなくとも、最近なんだかジャッキー・チェンのスピードが落ちてきたなあ、相手のほうがはやいじゃん、なんて不謹慎なことを考えている人にはお薦めだ。

 若しくは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズをなんだか噂では聞いているけど、レンタルビデオ屋に行ったらどれが一番最初のものかわからないので結局借りることが出来ない、って人にもちょっとだけ薦める。リー・リンチェイって、サッカー選手の小倉(現ジェフ市原)にそっくりだよなあ、鼻の穴とか‥、なぞと考えている人は見に行かなくてよろしい。似てはいるが。

 手軽にストーリーを述べると、サンフランシスコで主人公がたまたま車を盗んだら、偶然女の子が乗り込んで来て、きっちりホレて、一端は別れるが、ひょっこり住所が判っちゃって、でも実は図らずもその娘は自分の殺された弟の仇のグループのボスの娘なのでは? …、という必然の展開で、あー結局どこまでが偶然で繋がっているのかわからん! というぐらい天文学的な低確率の巡り会いがごくごく自然にやさしく描かれている。偶然に関する映画とはこういうのを指すに違いない。トーマス・アンダーソン君も見習ってくれたまえ。

ヤマネ Original: 2000-May-17;

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