京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 00 > 0702
Movie Review 2000・7月2日(SUN.)

インサイダー

 傑作『ヒート』のマイケル・マン監督の新作。『ヒート』は、長すぎなんじゃい、とか賛否あるようだが、ワタクシ的には「この長さがええんやんけ! もっと長くてもいいぞ」って感じのお気に入りだ。今回は、再びアル・パチーノ登場、対するはラッセル・クロウで、『L. A. コンフィデンシャル』のタフガイ刑事からうってかわったマザコンな感じの技術者を演じている。

 またまた 2 時間 40 分の長尺だが、今回は、『ヒート』中盤の銃撃戦(最高!)のような見せ場に欠け、ちょとツライ。とはいえ、70 年代っぽい、ちょっとヨーロッパ映画の影響を受けたフォトジェニックな画面づくりで、妙にムーディな演出が気色よい。

 タバコ会社が、発ガン性が証明されている薬品をタバコの燃焼性を高めるために混入させていた、との内部告発を記録したドキュメンタリー番組を巡る実話の映画化。

 告発しようとする技術者ラッセル・クロウは、家の郵便受けに、銃弾が置かれたり、電子メール(画面いっぱいに広がり、アニメーションする変なメール)で脅迫を受けたりするのだが、『映画秘宝』のファビュラス・バーカー・ボーイズの対談を読むと、実はそれは狂言だそうだ。そういわれてみれば、映画でも、どちらとも取れる描き方で、エンドクレジットでは、「それについては FBI が調査中なり」と字幕が出たりする。

 また、せっかく撮ったドキュメンタリーだが、テレヴィ局はタバコ大企業の圧力に屈し、肝心なところをぼやかした再編集をして放映してしまう。それに怒ったアル・パチーノが、「ちゃんとしたのがあるんだぜ」と新聞社にリークした、という設定だが、本当は、新聞社の独自調査によるスクープらしい。

 と、実話の映画化だけに色々あるのだが、そういう齟齬はありつつ、アル・パチーノのジャーナリストぶりがなかなか素晴らしい。日本の新聞・テレヴィといえば政府発表のタレ流し、広告主のゴキゲンを損ねるなんてもってのほか、と、ジャーナリズムとは無縁の存在なのだが、アメリカの場合は事情が異なっているようでして、ヴィヴァ! デモクラシイ! って感じ。バカみたいな感想で、申し訳ない。ともかく、「情報提供者は死んでも守るぜ! オレはそれで今までやって来たんだ! 絶対守るから情報を提供してくれるんだ!」と吠えるアル・パチーノはカッコいいぞ。

 とにかく長いし、「アッという間で長さが気になりませんでした」ってワケでもないので、お忙しい人には勧めませんが、オススメ。

BABA Original: 2000-Jul-02;

レビュー目次

Amazon.co.jp アソシエイト