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Movie Review 2000・2月6日(SUN.)

斬る

 みなみ会館で行われている「市川雷蔵特集」の『斬る』を見に行きました。僕の望んでいたものとは、全く異なる映画でした。僕の望んでいたのは、雷蔵の「立ち回りの華麗さ」と「男の色気」でありました。その両方とも、この映画からは感じられませんでした。

 まず、「立ち回りの華麗さ」という点について述べます。確かに映画の中で雷蔵は立ち回りをしていました。しかし、タイトルの「斬る」から、僕はもっとダイナミックできめ細やかなものを期待しておりました。まるで舞楽のような。この映画中の立ち回りは、それをしている時間の長さからいっても、華やかさからいっても、僕には満足出来ません。もっともっと見せつけがましいくらいの立ち回りを期待していました。

 そして「男の色気」です。これは「ダンディズム」と言い直してもいいでしょう。この映画で雷蔵はどんなに「粋」で「クール」な男を演じているのかと期待しておりました。しかし実際のところ、この映画の雷蔵は見るに耐えないところが何カ所かありました。まず設定自体、若い武家というのに無理があります。若いという割には落ち着きすぎているし、スクリーンから見えてくる雷蔵は、目元のしわ、肌の艶など、「若い」とは決して言えません。もっと他にふさわしい役どころで魅せてほしかったです。

 この映画は、雷蔵の魅力を充分に引き出すことなく、雷蔵の名前だけに頼った映画なのではないでしょうか?

大関・部智之海 Original: 2000-Feb-06;

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