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 Diary 1999・11月9日(TUE.)

岐阜ではお母さんが

 昨日、今日と久しぶりに暇だ。最近忙しかったので、こういう事もあるだろう。なんだか本来のオパールに戻ったような妙な安心感がある。このまったりと白濁した空間と時間。などという事をいっていてはいけないんだが。

 遅くにオイシン来店。さきほどまでオパールのチャットルームでババさんとチャットをしていたらしく、ババさんがやっと仕事を終えてオパールに向かったので、自分も出てきたらしい。ババさんはまだオパールに来ていない。最近仕事が忙しいらしく、残業残業で大変そうだ。「ホントですかあ? そんなに忙しいのならチャットなんかする時間ないでしょう」と憎まれ口を叩くオイシン。この頃オパールを席巻しているオイシンバッシングのせいで、いささか心が歪んでいる様子だ。そこにババさん登場。いきなり廻し蹴りでオイシンを蹴り倒す。「もう勘弁して下さいよおお」とオイシン。いや、みんなが飽きるまで続くだろうな。しかしみんなが飽きた時は同時にオイシン自身も飽きられる時かもしれないが。

 オイシンは実は岐阜出身。そのオイシンがこの間お母さんの誕生日に里帰りし、プレゼントとして花束をあげたところ、お母さんはしんみりしながら「ありがとう。でもお母さんは来年は本当に欲しいものがあるのよ」と言ったという。何が欲しいの、と思わずたずねる親想いのオイシン。すると「お父さんの後を継ぐ、というあなたの一言が欲しい…」。

 そうなのだ。オイシンは「デザイナー」とか「アーティスト」とか「クリエイター」などという軽佻浮薄な言葉に騙されて、田舎に年老いたご両親を残したまま、都に上京してきたのだ。人々の欲望や虚栄心、ドラッグや性倒錯の渦巻く都会で、甘い毒をたっぷり吸って堕落していく息子と、黙々と働きながらその息子の帰りをジッと田舎で待つ両親。すっかり堕落してしまったと思っていた息子から思いがけなく貰った花束に、おもわず真情を漏らすお母さん。切ない話だ。私とババさんは堪えきれずに鼻をすすった。風邪をひいていたのだ。

 というわけで、みなさんもオイシンの更正に協力して下さい。とりあえずは都会の恐さを思い知らせるために、いじめぬくのが良いと思います。「もう勘弁して下さいよおおおお」まだダメ。

小川顕太郎 Original:2000-Nov-10;