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 Diary 2004・8月20日(Fri.)

フケイ

 アキラ 28000 来店。「先日の石原慎太郎の発言、どう思ひます?」と言ふ。そのやうな事を言はれても、テレビも新聞も見ない私はその発言とやらを知らない。と答へれば、説明してくれたのだけれど、どうやら石原慎太郎が、来年(の 8 月 15 日に?)あたりに天皇陛下に靖国を参拝して貰ひたい、と発言したやうなのだ。

 ま、不敬発言だな、と私が言へば、少しは納得したやうな顔をしたが、「ボク、石原慎太郎ッて、よく知らないんですけど、一体どんな奴なんですか。なんであんなに人気があるんですか。裕ちゃんのおかげぢやないんですか」と畳みかけてきたので、以下のやうに答へた。

 確かに石原慎太郎人気には、弟の裕次郎人気が影響してゐるとは思ふ。でも、石原慎太郎自身も結構面白いやつで、露骨な反米愛国的発言をしたりして、外国から「ウルトラファシスト」と呼ばれたりしてゐるんだよね。日本はやはりアメリカの属国みたいなもんで、日本人には心の底に反米愛国的な鬱憤を抱へ込んでゐる人が多いから、さういつた慎太郎の発言は共感を呼ぶんだよ。それが、彼の人気を支へてゐるんだと思ふ。ま、嫌つてゐる人も多いけど、人気者ッて、さういふもんでせう? で、私自身、彼のさういつた所は面白いと思ふし、好感は持つんだけど、やはり、人間としては石原慎太郎はどうも好きになれないんだよねー。理由は、石原慎太郎からは皇室を敬ふ気持ちが感じられないから。やはりいやしくも保守の政治家で、皇室に対する尊崇の念が薄い奴は信用できない。非常に傲慢な感じがする。結局、自らの権力・権威・名声が欲しいだけぢやないのか、といふ疑念は消えないね。むろん、権力・権威・名声を追ひ求める事自体は悪いことぢやないんだけど、それだけではダメだ。その剥き出しの欲望を矯めるものがないと。日本においては、それは皇室への尊崇の念だと思ふ。だから、それが薄い奴は信用できないんだ。皇室は日本文化の象徴でもあるしね。文化は剥き出しの欲望を矯める装置でもある。天皇陛下のことを、自ら動かせる政治的駒だと思つてゐるやうな発言故に、慎太郎の今回の発言はダメ。不敬です。真の右翼なら激怒するところだらう。

「なるほど、分かりました。ボクは、許し難い、お前は何者や! と思つてゐたんですよ」と言つて、アキラ 28000 は帰つていつた。

 タカハシくん来店。「いま、オリンピックにハマッてゐるんすよ」と言ふ。やはりな。分かりやすいやッちャのー。心なしか夜の街に人が少ないのは、みんなオリンピックを見てゐるんでせうか。

小川顕太郎 Original: 2004-Aug-22;