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 Diary 2003・9月7日(SUN.)

ゲロッパ!

 畦石舎展の作品を作らねばならず、本当は映画なんて観てゐる暇はないのだが、昨日公開された『座頭市』(北野武監督)が気になつて仕方がない。あんまり気になり過ぎて落ち着かないので、やはりここは! と、MOVIX まで出掛けてしまう。

 ところが、…なんと満席で入れず! 40 分も前に行つたのに。おまけに、緊急でレイトショーまで決定してゐたのだが、そちらも残席僅か、となつてゐる。もちろん、仕事に行かなければならないのでレイトショーは観られない。なんのために出てきたのか、と愕然とする。今から家に帰つて作品を作るか、しかし、仕事もあるのでそんなに時間はないだらう、でも他のことはする気が起こらない、どうするか…と、茫然としてゐると、フッと『ゲロッパ!』といふ字が目に入つた。井筒和幸監督の新作だ。これなら、ちやうど観られる。…ま、これで、いいか、とフラフラと劇場に吸ひ込まれてしまつた。

 映画に先立つて、SOULHEAD といふ女性二人組のプロモーションビデオ(映画『ゲロッパ!』の主題歌で、これも井筒監督が撮つてゐる)が流され、それがまたどうでも良いしろものだつたので、んー、これは失敗したか? と不安になつたのだが、映画冒頭、空から撮つた大阪の街並みに JB の『It's A Man's Man's Man's World』が被さると、グーッと映画に引き込まれてしまつた。ヤクザの親分であり、86 年の JB の大阪公演では一緒に写真を撮つたくらゐの大の JB ファンである西田敏行は、二日後に入所を控へてゐる。同じく JB ファンであり弟分の岸部一徳(エニーチェのジャージにショーン・ジョンのサンバイザーが最高!)と西田敏行の組のもの(山本太郎、桐谷健太、吉田康平)たちは、なんとか親分に喜んで貰おうと、ちやうど名古屋公演に来てゐた JB を攫つてこやうと画策する…・といふお話。奇想天外だが、これがなかなかよく出来た話で、細部のギャグもよく効いてゐるし、最後は些か引つ張りすぎ・御都合主義に過ぎるきらいがあるとはいへ、傑作、と呼んでも差し支へない作品であつた。

 とても気に入つたので、惜しい! と思つた点を敢へてあげておく。劇中『SEXMACHINE』が流れるのだが(感動の名シーン!)その訳詞がちと間違つてゐる。JB が「CAN I TAKE THE BRIDGE!」と何度も叫ぶところを「サビにいつてもいいか!」と訳してゐるのだけれど、「BRIDGE」は「サビ」ぢやあない。なんといふか、曲中でちよつと曲調が変はるところを指して「BRIDGE」といふのだ。その「BRIDGE」部分で、JB は踊つたりする訳。ま、映画の大筋には何の関係もないんだけどね。

 それにしても、私は西田敏行が嫌いで、『釣りバカ日誌』の予告編を見せられるたびにウンザリしてゐたのだけれど、『ゲロッパ!』での西田敏行は素晴らしかつた。西田敏行最高! 強力にオススメ。今年の邦画ナンバー 1 かも。

 …あ、『座頭市』を忘れてゐた。

小川顕太郎 Original:2003-Sep-8;

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