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 Diary 2003・1月6日 その 3(MON.)

上海日記 1日目
後編

タクシーにて(1)チャイナ服タクシーにて(2)就寝

タクシーにて(1)

 もうホテルに帰りたかつたのだが、トモコがどうしてもチャイナ服の店に行つておきたいと言ふので、タクシーの運転手に地図を見せ、連れて行つて貰う事にする。

 上海のタクシー運転手は、まづ英語ができない(らしい。日本語はいふまでもない)。だから行き先を紙に書いて見せるか、地図を見せて「シャン チュー〜」とかなんとか叫ぶしかない。我々もそのやうにしてタクシーに乗つたのだが、さて、案外とすぐに行き先に着いてしまつた。やはり、タクシーを利用するに如くはない、とホッとしたのも束の間、新たな問題が発生した。タクシーの運転手が、メーターをあげてゐなかつたのだ。ガイド本のひとつに、タクシーに乗つたら必ずメーターをあげるかどうかをチェックすること、降りる時にはレシートを必ず貰うこと、と書いてあつたのだが、疲れきつてゐたので、すつかりその事を忘れてゐた。困つたが、初乗りが 10 元であつたし、時間もどう考えても初乗り分しか経つてゐないので、10 元を差し出す事にした。すると、運転手は猛然と大声で何かを叫び始めたのだ。何を言つてゐるのやら、さつぱり分からない。こちらも、何を言ひ返せばよいのか、ちつとも分からない。日本語で言ふのもなんだから、私は英語で「ノー、メーター! レシート プリーズ!」などと言ひ返したのだが、なんだか変な感じである。結局、めんどくさくなつたのか、運転手が手振りで、もう行け、と示したので、我々は「サンキューベリーマッチ、シェーシェー、シャヤ!」と言つて、タクシーを降りた。

チャイナ服

 トモコの目的地は「老上海」といふ店。小さい店だが、確かにここはあかぬけてゐた。その後に廻つたどの店に較べても(と言つても、3 軒ほどしか廻つてゐませんが)、ダントツにあかぬけてゐた。事前の下調べで、クレジットカードは使へない事が分かつてゐたので、現金を換金して持つて行つたのだが、さて、どのくらゐ換金するか。雑誌などを見ると、1600 元、1800 元〜といつた感じだつたので、2500 元ほど、換金すれば大丈夫か。我々は 2500 元を手に、その店に乗り込んだのだ。

 シナ語しか喋られないが、とてもお洒落なゲイのやうなお兄さんが居り、対応してくれる。入つた時からトモコの目を惹いてゐた服があり、それの値段をきいてみる。電卓をポンポンと叩いて出てきた値段は、3600 元! これは、あかん。値下げ交渉をすべきか、とも思つたのだが、このやうな露骨なブランドショップで、そんな事はよーせん。しばらくそこにゐて、結局何も買わずに出た。すでに疲れと眠気で、頭が朦朧としてゐる。寒さも、容赦なく身体を痛めつける。何軒か他のチャイナ服の店も見たのだが、やはり「老上海」に較べると、見劣りがする。我々は、タクシーに乗つて、ホテルに帰ることにした。

タクシーにて(2)

 先程、無造作に乗つたタクシーで揉めたので、今度はいささか慎重にタクシーを選ぶ事にした。本で調べた所によると、上海のタクシーは車ごとにサービスの違いが大きいらしい。中には、わざと遠回りをしたり、メーターをあげなかつたりするタクシーもゐるとの事。後者は、さきほど実体験した。比較的信用できるタクシー会社として、「上海大衆」「強生」「友誼」「錦江」などがあるといふ。これらのタクシーを探す。かういふのは得意だ。なぜなら、京都ではいつも「MK」や「都タクシー」など、安いタクシーを探して乗るやうにしてゐるからだ。「錦江」を捕まへる。出発した途端に、トモコが「ああ! 落とし物! 止まつて!!」と叫んだので、私も必死になつて、運転席を囲つてあるガラスをバンバン叩き、「ストップ! ストップ!! オトシモノ、オトシモノ! もの落としたから止まれっちゅうねん!!」と、日本語で喚ゐた。運転手もシナ語で何か喚き、なんとか車を止めてくれたので、二人で喚き合つてゐる間にトモコがドアを開け(上海のタクシーは自動ドアではない)、落とし物を拾つて戻つて来た。ぐつたり疲れる。

 無事ホテルまで帰り着き、100 元札でお金を払うと、贋物ぢやないかどうか、透かして確認してゐた。上海では 100 元札の偽札が出回つてをり、必ずかうやつて確認するのださうだ。お釣りを貰ひ、タクシーを降りた。

就寝

 疲れすぎて、気分が悪い。今日一日を無駄にしたやうな気持ちで、さらに精神状態も落ち込み気味。やはりシーズンオフは、シーズンオフだけの事はある。寒すぎる。日が短い。上海行きは間違いであつたか。ここよりは暖かいであろう台湾のユキエさん、絶対ここより暖かいカンボジアのショウヘイくん & ヤマネくんを思い、羨ましい気持ちに苛まれる。散々のスタートである。直に気を失つた。

2 日目前編につづく…

小川顕太郎 Original: 2003;