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 Diary 2000・5月10日(WED.)

クッキー・フォーチュン

 みなみ会館にアルトマンの新作『クッキー・フォーチュン』を観に行く。これがまたヌルイ映画だった。

 実を言えばアルトマンの映画などほとんど観た事がないのだが、70 年代にはそれなりに有効にハリウッド映画と闘っていたとされる御大が、このような生温い映画を「そこそこ良く」撮ってしまうという事態は無惨な感じがする。アルトマンの映画の特徴とされる、キャラクターのカリカチュアライズ、ハリウッド映画のパロディ、主人公を定めない群像劇、ばらばらの共同体、などが全て「ウェルメイドなハリウッド映画のアルトマン風味付け」といったものに堕ちているのだ。

 結局アルトマンはハリウッドに負けたのだ、と思う。この映画は、アルトマンが闘い続けてきたハリウッドに、慈悲深く迎えられるだろう。それを思うと、日本映画が困惑の態で持て余す老人力映画「御法度」を撮った大島渚はやはり凄い、と思わざるを得ない。伊達に下半身不随ではない。

 雑誌『ラヴィ・ド・トランタン』の取材を受ける。久しぶりに本格的な撮影、という事は大がかりな撮影ということだが、だったのだが、お客さんがほとんどいないので、問題なく進行する。

 ババさん作のメニュー帳を「これイイですねえ」と言ってわざわざコップ・皿の横に置き撮影。その際に、それと釣り合う色と形のものを探して横に置いたり、位置を変えてみたりとなかなかうるさい。店内撮影でも、トモコを中心に撮りたいと言い、トモコを前面に座らせ、オイシンに後ろを向かせるなど、なかなか考えている。

 撮影中にかかっていた音楽を載せるという事で、その時にかかっていたアーティスト名を訊かれ、正直に「ラサーン・パターソン」と答えたのだけれど、ノーザンソウルにしておけば良かったかと後から少し後悔する。フランク・ウィルソンの『DO I LOVE YOU』とか。

 それにしても、一日売り上げ 60 万円には 57 万円ほど足りませんなあ。

小川顕太郎 Original:2000-May-12;