<< Cafe OPAL TOP
Cafe OPAL

<< SOUL CHAMBER Entrance

SOUL CHAMBER

ソウルチェンバー
座談会020326

 

第一回 ノーザンソウルとは(後編)


中編 <<

| | | 後 |

イチモト

 ボクにとってのノーザンソウルですか。それは…自分の共感できる、ひとつの世界観ですね。美学というか。とにかく、彼等の世界観に共感できるんですよ、もう、全身で。イギリス北部の田舎町の労働者達が、平日の辛く退屈な仕事をなんとかこなして、週末のノーザンパーティーに全てをかける…。ボクの実生活も、ほんとーに、仕事とソウルしかないですから。それしかない。だからマジで人生をかけてます。それしかないから。

オガケン、ヒラノ、クラタニ

 おおー!!

イチモト

 だから、ソウルの他に何か愛するものがある奴らには、負けたくないんです。絶対に。ボクにはそれしかないから。

クラタニ

 うーん、そうかー、いやー、ボクはイチモトくんには悪いけど、やっぱソウルは遊びやなあー。楽しみのひとつに過ぎないというか。娯楽、娯楽。とてもじゃないけど、人生はかけられない。

オガケン

 クラタニくんはそうだろうね。じゃあ、ヒラノさんはどうですか?

ヒラノ

 ううん、ボクも好きなもののひとつだねえ。音楽に限って言っても、ノーザンソウルは、いろいろある中のひとつだし。今でも他のジャンルも精力的に聴いて、集めているからねえ。ただ、DJ をやっていて一番楽しいのは、やはりノーザンかな。

オガケン

 ほう、それはどういう理由で?

ヒラノ

 やっぱり、レコードが高い。かつ、コレクター的な要素が強い。だから一枚一枚を入手するのが大変で、その分、一枚一枚(シングルだから一曲一曲)にかける思いが強くなる。うん、それだけ高いお金を投じて、情報も集めて、世界中のコレクター達と闘ってレコードを手に入れる訳だから、どうしても生活が規定される。ノーザン中心、とまではいかなくても、かなりノーザンのために生活が組み直される所がある。だから、ノーザンの DJ には、人生が色濃く反映されることになって、面白いんだな。

イチモト

 まったくその通りです。まったくそのとーりです! だからボクは、ボクたちの人生が反映された、固有のソウルシーンを作っていきたいんです。誰の真似でもない、今までの日本のソウルシーンとも違う、できれば世界に発信できるような。

オガケン

 おおお、なんか話が大きくなってきましたが、でも、そういった固有のシーンを作りたいという欲望、既存のものとは違うシーンを作っていきたいという欲望は、けっこう持っている人は多いと思うんですよ。例えば、近年日本では「フリーソウル」というムーブメントがありましたが、あれに対しては、みなさんどう考えていますか?

イチモト、クラタニ

 あれは…ちょっとねえ…(苦笑)

ヒラノ

 僕は嫌いですね。ある種のロック的な極めて狭い趣味性による基準で括った聴き方のどこがフリーなのかさっぱり分からん。勿論、フリーソウルと呼ばれる音楽自体は悪いなんてことはない。そう言うスタイルの音楽が好きな人はそれはそれで僕がとやかくいうことでもない。ただ、そうした切り口からは抜け落ちるものがあまりにも多過ぎるように思う。まあ、ノーザンもイギリス人の勝手な趣味によるジャンルで、同じようなものかもしれないけど、ただ、何より彼等には黒人音楽に対する深い愛情や尊敬や知識がある。フリーソウルはソウルじゃないと言われればそれまでだけど、でも、Curtis Mayfield はよくて、Otis Clay はだめ、なんて楽しみ方はつまらないの一言ですね。

オガケン

 確かに、これは私の偏見かもしれませんが、なんか、フリーソウルって、浅い感じですよね。安易というか。いや、もちろん、生まれたばかりのムーブメントだし、これから色々と深めていけばよい訳で、否定する訳じゃないんですが。なんにせよ、同じ様な事を目指していく(?)うえで、もって他山の石とする、という事はありますね。先行・既存のものに対する リスペクト、これですね。これを忘れないように、やっていきましょう。安易にアンチで自己主張をするのは、カウンターカルチャーの悪い面ですからね。

クラタニ

 ところでケンタロウさんにとっては、ノーザンって、何なんですか?

オガケン

 ああ、えー、私の場合ですね。それは、なんというか、やはり今までの日本の「ソウル」っていうのは、んー、オヤジ臭い、というか何というか、ちょっと自分にはしっくりこないものがあった訳です。個々の曲やアーティストには、好きなものはいくらでもありましたけど。まあ、そういったオヤジ臭みたいなものを吹き飛ばしたという点で、フリーソウルにも功績はあったと思うんですが、やはり先ほど言ったように、フリーソウルそのものも安易というか、しっくりこないものがあった。ところがノーザンソウル、という括りでみると、まったく新しいソウルの面が見えてきて。しかも自分にもかなりしっくりくる。自分の求めていたのはこれだったのか、と。ヒラノさんもおっしゃったように、ノーザンの世界はとても深いし、ノーザンの人達の黒人音楽に対する愛情も凄い。だから、以前なら「オヤジ臭い」と言ってあまり耳を傾けなかったような曲も、新たな魅力を教えられて、聴くようになったり、という事があって。色々と教えられる。だから、何もイギリスのノーザン・モダンシーンをそのまま日本にもってくる事はないんですが、そうやって、世の中には全く違ったソウルの捉え方があって、しかも長い歴史を持っている、という点から謙虚に学びつつ、自分なりのソウル観を作っていきたい。その種、みたいなものですね。

 ええと、では最後に、これからノーザン・モダンソウルを聴いていきたい、という人達に向けて、なにかありますか。

ヒラノ

 そうですね。まあ、ノーザン・モダンは基本的にシングル盤の世界だし、かなりマニアックな世界なので、とっつきにくい所はあるかと思います。でも、今はかなりの数のコンピレーションが CD で出ているので、それを聴くことから始めればよいと思います。ボクのように何年もソウルレコードを集めている人間でも、とても耳にできなかったようなレアな曲を、簡単に聴くことができるのが、CD の良いところです。

イチモト

 それから、やはりイベントに足を運んで下さい。踊るなら「ソウルサバイバーズ」、じっくり聴くなら「ソウルチェンバー」といった感じで。声をかけてくれたら、いくらでも対応します。CD も作ってさしあげます。まず、来て下さい。

クラタニ

 ええと、最初に言ったように、ノーザンソウルは音楽ジャンルじゃなくて、文化なんです。だから、単に聴くもんじゃなくて、体験するものです。ノーザンの曲を聴いて、イベントに行って踊る。これらを引っくるめて、ノーザンソウルなんです。まず体験し、じっくり聴き、また体験する。これを繰り返す事によって、ノーザンソウルは身体に染みていきます。そこにある独特の熱狂的な空気、これを感じて下さい。

オガケン

 なるほど。みなさん、どうも有り難うございました。えー、では、これからも「ソウルサバイバーズ」「ソウルチェンバー」をよろしく、という事で。あ、神戸の「ヌードレストラン」「トップ・オブ・ザ・ワールド」、大阪の「トゥギャザネス」も、もちろんお忘れなく。それではまたー。

次回ソウルチェンバーは 4 月 9 日(火)。ぜひおこしください!

中編 <<

| | | 後 |

>> Soul Chamber INDEX
>> Soul BBS
>> Soul Survivors

>> Cafe OPAL TOP

 
© 1999-2002, Cafe OPAL on the net, all Rights Reserved.
リンクはご自由にどうぞ。掲載記事の無断転載を禁じます。