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Movie Review 1999・9月18日(SAT.)

キングピン ストライクへの道

 ファレリー兄弟の 1996 年作。『メリーに首ったけ』『ミスター・ダマー』もたいした映画ではないと思うので、どうしてみんなファレリー、ファレリーと騒ぐのかよくわからなかったのだが『キングピン』を見て納得。『キングピン』の監督が撮る映画なら盛り上がらずにはいられないわな。すでに見ている人は「今頃何いってんのさ」と思われるでしょうが、傑作。

 主人公のウッディ・ハレルソンは子どもの頃よりのボウリングキチガイで、チャンピオンのビル・マーレイを負かしていよいよプロボウラーとしての一歩を踏み出す。ところがマーレイにはめられ、右手を失って 17 年後、偶然出会ったアーミッシュのランディ・クエイドにボウリングの才能を見出し、今度はコーチとしてチャンピオンシップに挑むのであった…とありがちながらも、ストーリーの骨格はしっかりしている。

 こういう夢破れた元スポーツ選手が、埋もれた才能を発見し手をたずさえて世間への復讐を試みる、というのは『あしたのジョー』を古典として日本のマンガによくあるパターンなんだけど、影響を与えているのであろうか? 原型はどの辺にあるのでしょう。知っている人がいたら教えてください。

 この映画を記念してこそボウリング大会をやるべきであろう、というくらいボウリングシーンが素晴らしい。アプローチからストライクまでワンカットで納める。こんなアホな映画のためにみんな猛特訓したんだろうなあ、と涙を誘います。

 笑いの対象にされるものがアーミッシュ、義手、ハゲなど、モラル無しで新鮮。ファレリー兄弟の作品では必ず動物が虐待されるのもよろしい。アーミッシュは、やっぱり『刑事ジョン・ブック』をおちょくっているのでしょうか? 

 W. ハレルソンは『ナチュラル・ボーン・キラー』の、変な顔のくせにカッコつけてるヤツという印象が強くイマイチ感があったのだが、この作品と某最近作でのアホな役で、ボクの中では大いに評価が上がった。対する B. マーレイも慈善(偽善?)事業に精を出すプロボウラーというメチャクチャ気色の悪い役柄で、最近シリアスな映画の出演が多かったようだが、ホームグラウンドのコメディへの出演で過剰なまでの演技。グレイト。

 今回の上映は『バッファロー '66』公開記念、ボウリング映画特集の一本として上映されたので、いつかまたボウリング映画が話題になったら上映される機会もないではなかろう。見たい人はガンガン RCS のアンケートに書き込むと案外サラッとやってくれるかもしれないのでがんばりましょう。

BABA Original: 1999-Sep-18;

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