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Magazine Review 1999・9月01日(WED.)

ミーツ 10月号

 情報誌としてはすっかり定番になったカフェ特集。が、このミーツの特集はやたら力が入っており妙な感じだ。やたらといろんな切り口で様々なカフェをのせている事から、マンネリ感を払拭するためにちょっと毛色を変えてみた、とみるのが妥当なところだろうが、どうもそれだけでは割り切れない変な熱気みたいなものが感ぜられるのだ。「私達は情報を垂れ流すだけの情報誌ではない、主張を持ち主体的に文化と関わっていくメディアなのだ」とでもいいたげな様子なのだ。むろん情報誌のつまらなさというものは、かわりばえのしない情報を未整理なままたれ流すことにあるので、これを自らの主張によって整理し、ひとつの価値観のようなものを提示できれば断然面白くなるだろうが、それにしてはこの特集で扱われている店は網羅的すぎて他の情報誌と大同小異だし、主張というほどのものもみえてこない。

 例えばね、シワクさん。「今のカフェは多種多様で面白いということだ」と書いていますが、多種多様なら面白いのですか? そんなこといえば何だって多種多様ですよ、いまどき。細かな差異を無限に産みだし続けることによって前進し続けるのが資本主義なんだから。そしてその上に乗っかって、そのどうでもいいような差異を面白いと言い続けて利益をあげるのが情報産業でしょ。これは最もタチの悪いセリフだと私は思いますよ。

「今の街で一番元気なのがカフェの現場だと思う。」とも書いていますが、何故そう思うのですか。その事が全く書かれていない。いや、それらしき事は書いてあるんだよね。さっきの「多種多様」だとか「街のワガママを許す寛容さや自由さがある」とか。でもね、これってカフェのかわりに例えば雑貨とかでもいいわけでしょ。つまり入れ替え可能なわけで、なんにも言ってないのと同じなんですよ。その入れ替え可能な部分に次々と新しい情報を流しこむのが情報誌のやり口でしょ。それではやっぱり従来の情報誌と同じわけでつまらない。意気込みは分かるけど、やっぱりそれじゃ駄目だと思います。今回の特集も、切り口が少し変わっているだけで、中味は全然変わってない。

 …疲れた。もうシワクさんに対する「愛」だけでここまできたけんね。でももう限界。再度言わせてもらうと、私としては別に情報誌に何の期待も持っていないのです。だから上に言ったような事もほんとはどうでもいい。ただ、シワクさんが頑張るというなら応援する、ということ。でもやっぱ疲れる。

オガケン Original: 1999-Sep-01;

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