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Movie Review 1999・10月29日(FRI.)

プリティ・ブライド

『ノッティングヒルの恋人』など最近とばしている J ・ロバーツ、世界一の犬顔俳優リチャード・ギアの主演二人にゲイリー・マーシャル監督という『プリティ・ウーマン』トリオが 9 年ぶりに復活、ということだが『プリティ・ウーマン』は「ああ、ラストで全面核戦争で人類が滅亡すれば良いのに!」と思わせるくらい頭の痛い映画であったので、そんなことはどうでもいいですね。

 R ・ギアは USA トゥデイ紙の毒舌・女性蔑視発言で知られる名コラムニスト。ってどう見てもコラムニストに見えないぢゃあないか? とおっしゃる方もおられましょうが、和田誠+瀬戸川猛資+川本三郎の対談本『今日も映画日和』なんかを読むと長い映画の歴史においてはハンフリー・ボガードが画家を演じた事例もあるそうだから、そういうこともどうでもいい。

 ネタに困ってキッチリ取材せずに「結婚式で 3 度逃げ出した花嫁がいる」とのバーで聞いた話を裏付けもなしにコラムにしちゃって、当の花嫁、田舎町の金物店の女主人 J ・ロバーツの憤怒を買う。ジャーナリズムのいい加減さはアメリカでも日本でも似たようなもんなんだろう。J ・ロバーツは抗議の投書、おかげで R ・ギアは馘首、雪辱を晴らすため 4 度目の結婚式を間近に控えた J ・ロバーツが逃げ出すかどうか、の取材を敢行することに。と、前半はジャーナリズムのくだならさを告発するかのようにくだらない物語が展開する。R ・ギア、あんた自分の取材姿勢を反省しないのか? しないんだな、これが。映画であるからおもしろおかしく描かれているが、こんなヤツにつきまとわれたらメチャクチャ腹立つぞ。しかしそこは犬顔俳優の R ・ギア、スイートな犬顔で町の人とも仲良くなって取材は順調に進む。

 J ・ロバーツの住む町はさながらディズニーランドの従業員のような善良な人々が住む、きっと町はずれの森には連続殺人鬼が積み上げた死体の山があるんだぜ、という感じのヘイルという街だ。最初はとことん反撥しあう J ・ロバーツと R ・ギアだが、やがては…とアメリカ映画お決まりの、素晴らしく予想通りの物語が展開する。

 劇中、R ・ギアが J ・ロバーツの前 3 回の結婚式の逃亡現場をとらえたホームヴィデオを見る、というシーンがある。驚くべきことに単なるホームヴィデオを越えており、カメラ 5 台くらい同時撮影、カメラアングルや編集も凝りまくっており、かなりの力量を持つプロによるものと察せられる。ああ、アメリカってところはさすがは映画の国、結婚式のヴィデオでさえ大がかりに撮影するんだなあ、と妙なところで感心したり。しかも今まさに逃げ出さんとする J ・ロバーツの決意の瞬間をアップでとらえるというピューリッツァ賞もののカメラチャンスをものにしている。凄い。なんか頭痛くなってきました。

 おおかたの予想通り J ・ロバーツと R ・ギアはチュー。やれやれ目出度し目出度し、あー、最高におもしろかった、と席を立とうとしたら、なんと! ドラマはスッカリ完結していると思われるのに、さらにジュリアとリチャードの素敵な蛇足を大サービス。おまけにエンドタイトル後にも雪の中でじゃれ合う 2 人というオマケもあるでよ!(一体、誰が喜ぶのだ? こういうことがあるから、エンドタイトルが始まったらサッサと劇場を出るべきなのだ。)

 というわけで、あんまり考えなしにホイホイ結婚しちゃあいかんよ、ちゃんと自分のことを理解してくれる人をトコトン捜しなさい、とか、あんまりホイホイ刺青を入れちゃあいかんなあ、という有り難い教訓も得られ、大満足の 2 時間であった。「どういう結婚式にしよっかなー?」と悩む結婚間近のカップルには、とにかく 5 種類の結婚式パターンを見ることができるので絶大な自信を持ってオススメする。ってホントはおもしろく見ちゃったんだけどね。

BABA Original: 1999-Jan-29;

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